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“吹田の主婦”がトレンド入り…山崎颯一郎(24歳)ってどんな人? WBC決戦前に知りたい"推せる4つの理由"〈オリックス記者が見た〉
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNanae Suzuki
posted2023/03/16 11:06
離脱する栗林に代わって追加招集された山崎颯一郎(24歳)。世界一に突き進む侍ジャパンに楽しみな投手がまた一人加わった
指揮官の狙いは的中。山崎は、「中継ぎは1イニングで決まるので、初球からストライクゾーンにしっかり投げ込もう」というシンプルな意識で腕を振り、開花。8月末に一軍に再昇格し、セットアッパーとしては10試合でわずか1失点という安定感で優勝争いを支えた。
その活躍が評価され、昨年11月に行われた日本代表の強化試合でメンバー入り。1月に発表されたWBCメンバーには選ばれなかったが、3月7日に京セラドームで行われた日本代表対オリックスの強化試合では、侍ジャパンのサポートメンバーとして日の丸をつけ9回に登板。1回無安打無失点と好投した。
「宇田川に負けないように、腕を振ります」
14日にWBCへの追加招集が発表されると、山崎は球団を通じてこうコメントした。
「選んでいただき、とても光栄に思いますし、何にも変え難い貴重な経験をさせていただくことに感謝しています。宇田川に負けないように、そして日本の世界一に貢献できるように全力で腕を振ります」
そう、山崎といえば宇田川、宇田川といえば山崎、と言ってもいいほど同学年のセットアッパー2人は仲のいいライバルだ。
昨年は夏場以降、競い合う2人の働きが、オリックスのリーグ連覇と日本一への流れを作った。終盤は2人のリレーが多かったが、登板を終えた2人は必ずベンチで張り合っていた。
山崎が先に159キロを計測した時には、宇田川が「数字は負けてるけど、見た目は俺の方が速いからな。俺の方が上だからな」と強がった。
宇田川は、「くそーっていう気持ちも、自分も出したいなという気持ちもありました。颯一郎がいい球を投げてくれると、悔しいけど、それがすごく成長につながる。負けないように頑張ります」と語っていた。
そうした同世代との競争が、緊迫した優勝争いの中で力を発揮できた要因でもあったと山崎は話していた。
「緊張している時も、宇田川がいいピッチングをすると、『お、抑えてんなー。っしゃ俺も!』と思う。緊張よりも『やってやろう』という気持ちが出て、それがいい方向に行きますね」
WBCでも、そんなシチュエーションが訪れるかもしれない。