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現地記者が震えた侍ジャパン“まるでマンガ”の発言録「時には弱さを見せながら」「自分を出していいんだ」…“史上最高チーム”になるまで
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKYODO
posted2023/03/16 11:03
WBC現地記者が聞いた「忘れられない選手の言葉」とは。青春マンガのような道のりを振り返る
誠也、栗林の無念を背負って。
〈サムライの言葉/背番号51と……〉
彼の思いも一つ背負って世界一に
1次ラウンドの日本ベンチには、「背番号51」のユニフォームが掲げられていた。代表合流直前に左脇腹の張りのため出場を断念した鈴木誠也(カブス)のものだ。患部である左脇腹には、白いテーピングで「×」印のおまけ付き。中国戦前にこのイタズラをしたことを明かしたダルビッシュは「テレビに映ることもあると思うんで、ただユニフォームっていうより、何かあったら面白いかなって。そういう遊び心がみんなありますから」と話していた。
鈴木誠也は、前回の17年WBCに野手最年少メンバーとして出場。21年の東京五輪では4番を務め、金メダル獲得に貢献している。この2大会にともに出場している山田哲人は、鈴木とLINEで会話していたことを明かし、「やっぱり一緒に戦いたかったです、という思いは伝えました。彼の思いも一つ背負って世界一になりたいという気持ちになりました」と誓っている。
1次ラウンドを終えた12日のオーストラリア戦後には、守護神候補の一人だった栗林良吏(広島)が腰の張りのため離脱することが判明。試合後のグラウンドでは、栗林を真ん中に囲み選手全員で記念撮影し、最後は一人一人と握手を交わして“魂”を受け取った。準々決勝のベンチには背番号「20」のユニフォームも加わるだろう。選ばれなかった選手、辞退者、離脱者、さまざまな思いを背負って、侍ジャパンは強豪国が待ち受ける「負ければ終わり」の戦いに挑む。
マンガも顔負けの侍ジャパンのストーリーはまだ序章に過ぎない。
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