侍ジャパンPRESSBACK NUMBER
現地記者が震えた侍ジャパン“まるでマンガ”の発言録「時には弱さを見せながら」「自分を出していいんだ」…“史上最高チーム”になるまで
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKYODO
posted2023/03/16 11:03
WBC現地記者が聞いた「忘れられない選手の言葉」とは。青春マンガのような道のりを振り返る
チームをまとめる「圧倒的な実力」
〈サムライの言葉/片ひざ弾〉
マジで野球辞めたいっス
スーパースターの大谷は開幕直前の3日からチームに合流した。打撃練習から桁違いのパワーと打撃技術を見せ、驚愕の打球を連発。初実戦となった阪神との強化試合(6日)では、いきなり2本のホームランを放った。1本目は、体勢を崩されながら片膝をつき右手一本でバックスクリーン右へ。2本目は、高め直球に詰まりバットを折られながらも3ランを叩き込んだ。
衝撃の2発には、チームメートも喜ぶより先に呆気に取られ口あんぐり。昨シーズンのパ・リーグ本塁打王の山川穂高も思わず「マジで野球辞めたいっス。同じ競技をやっているとは思えない」と呟いたほどだ。本大会に入っても試合前のフリー打撃では対戦国の代表選手たちも思わず見入り、観客はホームランダービーを楽しむかの如く盛り上がっている。
トップレベルの選手たちも言葉を失うほど凄まじい“SHO-TIME”。オーストラリア戦では右中間スタンドにある自らの顔写真が写る広告看板に直撃する大会1号を放ち「久々にいい打球を打てて、いい景色だったなと思います」と涼しい顔で振り返った大谷。誰もが憧れを抱く圧倒的な実力で、チームを一つにまとめ上げている。
漫画さながら…ヌートバーの存在
〈サムライの言葉/ペッパーミル・パフォーマンス〉
ニッポン大好き! アリガトウー!!
漫画のキャラクターなら当初の設定は「アメリカから来た謎の転校生」だったカージナルスのラーズ・ヌートバー。日系人として初めて代表入りを果たしたが、真摯に野球に取り組み、誰より熱く勝利を追い求める姿に、野球ファンの誰もがあっという間に心を奪われた。
「1番・センター」として1次ラウンドでは14打数6安打3打点7得点。四球も4個選び、出塁率は.579と上位打線で確実に得点機を作っている。数字以上に印象深いのが、その熱いプレースタイル。打撃後は常に全力疾走を欠かさず、守備では中国戦、韓国戦と2試合連続でスーパーキャッチを見せ、チームのピンチを救った。