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「普通に考えたら大谷翔平。でも最大の驚きは…」谷繁元信が選ぶWBC“ここまでのMVP”は?「すべてがハイレベル。人間性も素晴らしい」
text by
谷繁元信Motonobu Tanishige
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/14 11:05
オーストラリア戦の初回、先制3ランを放った大谷翔平を迎え入れるラーズ・ヌートバーと近藤健介。この1、2、3番が侍ジャパンを牽引している
最大の驚きはヌートバー「人間性も素晴らしい」
最大の驚きはやはりヌートバーです。映像や成績、関係者の話といった情報はありましたが、いざプレーを見てみたら「これはいい選手が来てくれたな」と。走攻守すべてにおいてハイレベルですし、人間性も素晴らしい。野球に対する熱い思い、一生懸命さを毎試合見せてくれて、間違いなく侍ジャパンにポジティブな影響を与えています。ほかの選手たちがすごくいい形で彼を迎え入れたこともあって、本当に気持ちよくチームに馴染んでいることが伝わってきますよね。
そして2番の近藤の活躍も目を見張るものがある。鈴木誠也が欠場していなければ、彼が試合に出られていない可能性もありました。鈴木がいないのは残念ですが、侍ジャパンにとっては“怪我の功名”と捉えることもできるでしょう。
1次ラウンドでの日本の得点パターンは「ヌートバーと近藤がチャンスを作って、大谷と吉田正尚が返す」、もしくは「下位打線が塁に出て、ヌートバー、近藤、大谷が返す」のどちらか。あとはたまに一発が出るくらいで、ほぼこの2パターンに収まっていました。そのどちらにも絡んでいる1、2、3番が、このチームのエンジンです。準々決勝も、少なくとも5番までは打順を崩さないと思います。
準々決勝以降のキーマンに指名したのは…
そう考えたときに、論点になるのは4番の村上宗隆でしょう。たしかに結果はついてきていませんが、個人的には、オーストラリア戦で内容がよくなってきている印象を受けました。まだ少しズレはありますが、それが徐々に修正されつつある。ヒットも打ちましたし、第1打席のセンターフライも、ポイントがボール1個前だったらスタンドに放り込めていたはずです。
チェコ戦、オーストラリア戦で変えなかった以上、栗山監督がいまさら村上を4番から動かすことは考えにくい。そういった意味でも、準々決勝以降のキーマンは、僕は村上だと思っています。チームにあまり貢献できていないからこそ、「ここぞ」で意地を見せてくれることに期待したい。それができるだけの実力は間違いなくありますから。