「人にはいろんなタイプがいますし、例えば街中であっても人間を見ていると学べることや発見があるので、自分は人間観察が好きなんですよ」

　果たしてその瞳は、キャンプやオープン戦でなにを見て、なにを感じたのか。その答えが形となって現れる日が楽しみだ。

松尾に聞いた「捕手としてのタイプは？」

　将来を嘱望される松尾のプレーを見ていて疑問に思ったことがある。投手陣の話によると、捕手には大きく分けて二種類のタイプがいるという。極端に言えば、いいボールを見極め多少強引であっても引っ張るようにリードをするタイプと、とにかく気持ちよく思いっ切り投げてもらうためにピッチャーに寄り添うタイプ。どちらがいい悪いというものではないが、果たして松尾は自己分析をすると、どちらのタイプなのだろうか。

　そう問うと、松尾は宙を睨み、しばらく考えて口を開いた。

「自分は、ピッチャーの気持ちを尊重したいタイプですね。キャンプでもピッチャーの皆さんはそれぞれにこだわりがあると感じましたし、しっかりとコミュニケーションをとって、信頼されるキャッチャーになりたいと思います」

プロに入ってなにか驚いたことはありましたか？

　学生時代に比べれば明らかにストライクゾーンは狭くなり、甘くボールが入れば打たれ、シビアな攻防を演じなければ通用しないプロの世界。DeNAの将来を担う逸材として「走攻守揃った、これまでいなかったタイプのキャッチャーになりたい」と公言する松尾が、今後果たしてどのような成長曲線を描くのか注目したい。

　そして松尾に「プロに入ってなにか驚いたことはありましたか？」と訊いたときのことだ。まだ表情にあどけなさを残す18歳は、感心した様子で次のように言うのだ。

【次ページ】　胸に秘める大事な言葉は『他喜力』