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福永祐一はなぜ騎手人生の晩年に全盛期を迎えたのか?「キングヘイローにようやく恩返しが…」異例のキャリアを歩んだ46歳と名馬たちの絆
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/02/25 11:03
2023年2月19日、東京競馬場で行われた福永祐一の国内ラスト騎乗後のセレモニー。引退を惜しむファンの声援に瞳を潤ませる場面もあった
そう褒めたたえたピクシーナイトの母の父は、デビュー3年目の彼がダービー初騎乗で14着に敗れたときの相棒、キングヘイローである。
「キングヘイローの血が入った馬でGIを勝つことができて最高に嬉しい。ようやく恩返しができたんじゃないかな」
キングヘイロー自身もダービーの2年後に高松宮記念を勝ってGIウイナーとなっていたのだが、そのときの鞍上は福永ではなく柴田善臣だった(クビ差の2着は福永が騎乗したディヴァインライト)。
福永はキングヘイローでGIを7戦したが、2度の2着が最高だった。自身の手綱ではGIを獲らせてやることができなかっただけに、喜びはひとしおだっただろう。
調教師試験に合格した2022年も、GI2勝を含む101勝を挙げ、12年連続13度目の年間100勝超えを果たした。21年12月に香港スプリントで他馬の落馬に巻き込まれて負傷して休養を余儀なくされながらも、最後まで、大舞台でも、平場のレースでも、強さを発揮しつづけた。
引退の前年も100勝以上を挙げ、GIを狙えるお手馬が複数いる騎手が現役を退くのは異例のことである。
誰にも言わずにいるフィジカル面のきつさなどが実はあるのかもしれないが、46歳になった今も、20代のころ以上のしなやかさと強靱さを感じさせるプレーを見せている。
ラストライドとなるサウジアラビアでは、もちろん結果を出してほしいが、それ以上に、無事に戻ってきてほしいと思う。
福永ジョッキー、長い間、お疲れさまでした。素晴らしいレースをたくさん見せてくれたことを、感謝しています。
第二のホースマン人生も、幸多からんことを祈ります。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。