猛牛のささやきBACK NUMBER
監督カミナリ報道や“代表降りろDM”に困惑も、宇田川優希(24歳)に笑顔が戻った理由は? WBC合宿はツンデレ由伸に「絶対くっつく」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2023/02/20 06:00
WBC宮崎合宿に合流し、ともにオリックスから選出された山本由伸(右)らと笑顔で練習に参加した宇田川優希(24歳)
不調にあえぎ負のオーラを出していた宇田川を、同い年のエース山本は「今日どうだった? ボールやっぱ滑る?」と気にかけた。
宇田川が「ダメだった」としょげていると、「たぶんボール(が原因)じゃないと思うんだよね。そこばっかり意識するから、下(下半身)がうまくいかず合わなくなって、ボールがあちこち行くんじゃない?」とアドバイスをくれたという。
減量についてもいろいろな選手が助言をくれた。
「食事はもちろん、比嘉(幹貴)さんには『飲むものにはマジで気をつけろ』と言われて、意識したら本当に変わりました」と感謝する。
比嘉は、「アスリートとして当たり前のことを言っただけなんですけど」と苦笑する。
「水かお茶か、コーヒーはブラックにしなさいと言いました。あいつ微糖をグビグビいってたんで(苦笑)。周りに言われるより、自分で気づくのが一番いいんですけどね。僕は結構、『誰も見てねーから(甘いもの)食えよ。行け行け行け』とか言ってあおるんですけど、ちゃんと食べずに我慢してますね。
(WBCでは)やってくれそうだなーと思っちゃう。それぐらいのスケールがある。図太いし、野球をやる上でいい意味で鈍感だし。ちゃんとはまって大活躍すると思うんですけどね、たぶん。チームメイトとして誇りに思っているので。気負いすぎず、その時その時一生懸命頑張れば大丈夫じゃないですか。まあ大やらかしも見てみたいですけどね(笑)」
周りをハラハラさせながら、チームメイトやスタッフの愛と叱咤を一身に浴びて復調した宇田川は、「持ち味のまっすぐとフォークで、三振を取ったり、ピンチで抑えたり、勢いづくピッチングをしたい」とWBCへの意気込みを語り、オリックスキャンプを後にした。
人見知りの宇田川「由伸にくっつきます」
人見知りの宇田川は、代表合流前、山本についていく作戦を立てていた。
「僕あんまり知り合いがいないんで、由伸に『合宿中、一緒に食事会場行こ。頼む』って言ったんですけど、『絶対一緒に行かない。時間ずらしてやる』って。ツンデレなんです。でも絶対くっつきます」
17日から始まったWBC合宿、宇田川は無事に食事会場にたどり着けているだろうか。ただ、初日に撮られた集合写真では、ちゃっかり山本の隣にポジショニング。シンデレラボーイ宇田川が、侍ジャパンでの一歩を踏み出した。
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