猛牛のささやきBACK NUMBER
監督カミナリ報道や“代表降りろDM”に困惑も、宇田川優希(24歳)に笑顔が戻った理由は? WBC合宿はツンデレ由伸に「絶対くっつく」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2023/02/20 06:00
WBC宮崎合宿に合流し、ともにオリックスから選出された山本由伸(右)らと笑顔で練習に参加した宇田川優希(24歳)
14日の紅白戦で成果が表れ、WBCではブルペン担当コーチを務める厚澤コーチは、少し安堵した様子だった。
「やっと、やっとマウンドに立っていい土俵に上がった。ウエイトオーバーだったり、ボールを気にしすぎてフォームを崩していたりで、バッターと勝負する以前の問題だったけど、やっと。僕も合流して3人(宇田川、山本由伸、宮城大弥)預かるわけなので、下手な格好を見せるわけにはいかないし、やっぱり宇田川にはスポットライトを浴びてほしいですからね。強烈なスポットライトを。ここからが勝負です」
中垣コーチは安堵しながらも慎重に語った。
「まだ何も判断できない。僕はまずこの期間でできる限りのことをやっただけ。ここまでの取り組みがどうだったかというのは少し時間が経たないとわからない。ただいい方向に向いてほしいと願って、送り出すしかない。持っているものは素晴らしいので。うちにはいっぱいいい選手いますけど、その中でもやっぱりいい。あれだけのフィジカルを思いっきり使って、枠の中に強いボールを投げ込めるというのは、やっぱり魅力です」
中嶋監督は辛口コメントで送り出し
代表合流前最後の練習となった16日、中嶋監督は厳しめのコメントで締めた。
「確かにちょっとはよくなっています。でもWBC代表となった時に、国を代表する自覚といいますか。そこはやっぱりかなりのものを持っていかないと。トップ中のトップが来るわけですから。そこに関しては全然甘かったんじゃないですか」
出発の挨拶に来た宇田川には、「途中で(代表から)帰ってくるから、挨拶しなくていいよー」と中嶋流の辛口で送り出した。
確かに、約半年で急激に立ち位置が変わった宇田川は、意識も体も技術もまだまだ発展途上で危なっかしい。けれど、なぜか期待してしまう。そして「なんとかしてやりたい」と、周りに思わせる何かがある。