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三笘薫が悔しそうに黒の手袋を叩きつけた日…ブライトン地元記者が本音で語る“ミトマの移籍話”「デゼルビ監督はミトマを高く評価しているからね…」
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byAFLO
posted2023/02/14 17:50
1-1の同点に終わったクリスタルパレス戦。試合終了後、アウェイまで駆けつけたブライトンファンのもとへ歩み寄る三笘薫(25歳)。脇に黒の手袋を抱えている
「クリスタルパレス戦の三笘に関しては、仕方がないという印象だ。前半、マーチとのコンビプレーから放ったシュートは、連係もプレーの質も良かった。今季の活躍は、たしかに素晴らしい。だが、この試合はベストではなかった。すべての試合でゴールを奪えるわけではない。当然、良いときもあれば、そうでないときもある。チームとして、三笘の良さを活かせなかったように思う」
ネイラー記者は、三笘がチームに合流したばかりのプレシーズンマッチからクラブの取材を続けているが、ここまでの出来を高く評価している。そして、次のように言葉をつないだ。
「ブライトンに革命を起こしているほどの活躍だ。センセーションと言っていい。クリスタルパレス戦に関しても、三笘への期待値が高くなっているからこそ、『ベストではなかった』との評価につながっているわけだから。
驚くのは、いとも簡単に相手のマーカーを抜き去ること。ここはベルギーリーグではない。世界最高峰のプレミアリーグなんだ。相手のDFだって最高の選手だ。あのスピードと、あのスキルで簡単に敵を抜き去りチャンスを呼び込む。素晴らしいよ。しかも先発で出場するようになって、90分の中で勝負所をきちんと抑えている。ここぞという場面で仕掛け、突破が難しいと判断すれば安全にパスを選んでいる」
「デゼルビ監督はミトマを高く評価しているからね」
今季の活躍を受け、三笘の去就に関する話題が英メディアを賑わせるようになった。アーセナルやリバプール、マンチェスター・Cといったビッグクラブの名が取り沙汰されているが、ネイラー記者はどう考えているのか。筆者はもう少し踏み込んで話を聞いてみた。
同記者は「報道でいくつかビッグクラブの名前が出ている。実際に夏の市場でオファーも届くと思う」と見解を述べると、「ただし」と付け加えた。ネイラー記者は、ブライトンの視点で言葉を続けた。
「シーズンはまだ先が長い。鍵を握るのはブライトンの考え方だと思う。三笘とクラブの契約は2025年まで。夏にオファーが届いたとしても、クラブとしては売却を急ぐ必要はない。オファーが来てもリラックスして臨むはずだ。“おそらく”という前提で話をするなら、売却に応じるのは夏の市場からもう半年先、あるいは1年先になるかもしれない。クラブ側としては、(移籍金の価値がさらに上昇する可能性もあるので)夏に急いで売却せず、その先の期間で真の価値を見定めるかもしれない。
(筆者:来季の開始時点でクラブに留まる可能性は十分あるということか?) そのとおり。実際にチーム最多得点者だったレアンドロ・トロサールを冬の市場で売却したが、それは三笘が彼の代わりを務められる目処が立ったからだ。それと同じように、三笘の後釜をクラブが確保できるか。さらに、監督が三笘の売却を認めるかどうか。ここがポイントになると思う」