平山　そうなんです。分からないから、その時は「ま、大丈夫かな」と。いま考えると、良くないんだなと分かるんですけどね。これから女性がどんどん増えていくのであれば、相談できる場所をつくってほしいと思います。他のプロスポーツもそうだと思うんですけど、自分自身の経験しか知らなくて情報も少ないので、気軽に話せる場所があれば、もっと女性も活躍できると思います。

――そこをおざなりにしてしまうと、将来、子どもが欲しいと思った時に後悔する可能性もあります。

平山　いま競馬界では宮下瞳騎手が出産を経て復帰、活躍していますが、子育てをしながら現役を続けるのは環境がよっぽど揃わないと厳しいと思います。でも、こうして先駆けになる人がいるので、「宮下騎手が頑張っているから、できないことはない」と思えるんじゃないのかなと感じます。

20時過ぎに寝て2時に起きる仕事を理解してくれる人

――若い世代に「女性騎手にもたくさんの選択肢がある」と感じてもらえると嬉しいですね。

平山　私自身は結婚願望がないわけではないので、10年後に急に結婚しているかもしれないし、このまま一人を貫くかもしれないですけど、馬が一番で「結婚するから調教師を辞めます」ということはないと思います。そうなると、毎日20時過ぎに寝て深夜2時に起きる仕事を理解してくれる人じゃないと難しいのかも、と思います。

©Keiji Ishikawa

――ご縁もありますし、動物相手の生活リズムへの理解を得られるかもありますね。最近は南関東にも女性騎手がまた増えてきましたが、後輩たちから生理の相談を受けることもありますか？

平山　年齢が離れすぎていることもあってか、なかなか話せないですよね。最初の頃にこちらから「大丈夫？」と投げかけてあげるようにはしていますけど、彼女たちからは言いづらいと思います。

――やはり騎手という仕事を理解して気軽に相談に乗ってくれる機関があるといいですね。次は平山さんの騎乗馬についてお話を聞いていけたらと思います。

　＜「調教師転身」編へ続く＞