平山　その厩務員の方に厩舎を探してもらったのですが、「女の子は難しいから」と断られたこともあると聞きました。引き取ってくださった先生はすごく厳しい人で、みんながいるところで怒鳴り散らすような人でした。だから、1週間で辞める厩務員もいたんですけど、「ここで頑張れば騎手になれる」と思って頑張りました。今となってはそれが良かったのかもしれないですね。

――都市伝説かもしれませんが、ひと昔前は「女性は所属厩舎があらかじめ決まっていないと、地方競馬教養センターへの合格が難しいのではないか」と囁かれていました。

平山　そうですね、私が受験した時もそう言われていました。でも、今は教養センターに入所した後に所属厩舎になってくれるところを公募してデビューする女性騎手も多くて、女性の活躍をあと押ししてくれる環境になったんじゃないかなと思います。

©Keiji Ishikawa

徐々に減っていった女性騎手の存在

――実際に厩務員として働いてみてどうでしたか？

平山　馬が飲む水を入れた大きな桶を自分の胸より高い所に掛けないといけないんですけど、働き始めた頃は水が入っていると重たくて上げられず、空っぽの水桶を掛けてからバケツ2杯の水を入れていました。それが仕事を続けるうちに水が入った状態でも持ち上げられるくらい筋力がつきました。そうして体力がついたこともあってか、次の試験で地方競馬教養センターに合格しました。

――厩務員経験を生かし、合格してから2年間の訓練期間を経て2000年4月に騎手デビューしました。当時、女性に対する雰囲気はどうでしたか？

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