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エフフォーリア電撃引退の原因が“心房細動”だけではない理由…まさかの競走中止も、適切だった横山武史の判断「陣営や騎手を責めるのは間違い」
posted2023/02/14 17:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Sankei Shinbun
先週の京都記念(2月12日、阪神芝2200m、4歳以上GII)で心房細動を発症して最下位に敗れたエフフォーリア(牡5歳、父エピファネイア、美浦・鹿戸雄一厩舎)が、現役を引退して種牡馬になることが決まった。オーナーのキャロットクラブのホームページで発表された。
エフフォーリアは一昨年、皐月賞、天皇賞・秋、有馬記念を圧倒的な強さで制して年度代表馬になった。しかし、昨春は本来の前進気勢が見られず、大阪杯9着、宝塚記念6着と不本意なレースがつづいた。半年ぶりの実戦となった有馬記念でも5着に敗れたが、直線入口までは期待感を抱かせる走りで、復活の兆しを見せていた。
以前はレースの疲れが抜けづらく、間隔をあけて使わなければならなかったのだが、有馬記念後は疲労回復もスムーズで、この京都記念に臨んだ。パドックでの気配や、返し馬の動きなども悪くなかったのだが、心房細動という思わぬアクシデントに見舞われてしまった。
検査で異常なしも、大事を取っての引退か
ブリンカーを装着していなくても楽に好位に取り付き、勝負どころから有馬記念のように上がって行くかと思いきや、4コーナーで手応えが悪くなり、直線で最後尾まで後退して競走を中止した。
ゴール前で横山武史が下馬し、すぐに腹帯を解いて鞍を外した。そして、その場で小さな弧を描くように曳き運動をしながら、スタッフが来るのを待った。
急に失速したので、当初は骨折などの故障が心配されたが、歩様に異常は見受けられなかった。数分後には、鹿戸調教師らに伴われ、自ら歩いてコースを出た。
ほどなく、心房細動を発症したため競走を中止した、と発表された。
その後の当日の検査でも、また、美浦に戻ってから行われた翌日の検査でも異常はなかったのだが、厩舎サイドとオーナーサイドで協議した結果、大きな仕事の残されている馬なので、万が一のことがないよう、大事を取って引退させることを決めたようだ。