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競馬PRESSBACK NUMBER
「女の子にケガさせたらいけないと言われて…」牧場育ち→浦和の新人女性騎手が直面した壁「男性騎手が真っ裸で仁王立ちしていたことも(笑)」
text by
大恵陽子Yoko Oe
photograph byKeiji Ishikawa
posted2023/02/15 17:05
2000年に浦和競馬で騎手デビューし、2011年からは調教師へと転身した平山真希さん。騎手時代について話を聞くと…
平山 馬の蹄は伸びるので、20日に1回は削って、新しい蹄鉄に打ち替える必要があるんです。蹄鉄は人間で言う靴で、それがないと困るので、装蹄師を追いかけて「お願いっ!」と頼み込んでやってもらっていました。その時に覚えたのは、仕方なく2カ月間、蹄を伸ばし放題にしていると、何もない所で躓くようになって、その後にバサッと切ると脚が腫れるということです。バランスが変わって歩き方も変わっちゃうんですよね。
体重が40kgを切るくらいまで減りました
――騎手はみなさん体重が軽いですが、体重管理はどうでしたか?
平山 デビュー前に厩務員として働いていた頃、仕事で疲れ果てて食事よりも寝ることを優先した結果、体重が40kgを切るくらいまで減りました。レースで馬が背負う重量は決まっているので騎手は体重が軽くないとできない仕事ではあるんですけど、逆に軽すぎて規定の負担重量に足りないので鞍に鉛をいっぱい詰めていました。そうすると、馬は10kg以上のリュックを背負ってパドックを歩いているような状態で、何回も続けて乗る馬は「嫌だー」ってふにゃ~とするくらいでした。
――日々の運動量が多くて体重がなかなか増えなかったんですね。他の女性騎手からも「体重が軽すぎて、どうしても鞍が重たくなる」という話は聞きます。体調の変化はありましたか?
平山 生理不順や止まってしまうことがあって、精神面の影響も大きいのかなと感じました。埼玉県には公営4競技すべてがあって女子選手との交流があったんですけど、ボートレースの選手が養成所にいる時に生理が止まってしまって、卒業したらまた戻ったと聞いたことがあります。競馬場には女性が少なかったのでそういった話は普段、聞くことがなかったんですけど、「やっぱり他の人もあるんだ」と思いました。
女性騎手が相談できる場所をつくってほしい
――なかなか他人の生理事情は簡単に聞けないですし、10代だと何が正常な状態かもまだ分からないですもんね。