酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「やす、6割くらい?」奥川恭伸が復活へ一歩、「(川端)慎吾はやらんのー!」笑顔でムード◎なワケ〈ヤクルト二軍キャンプ観察〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2023/02/04 11:01
復活を目指す奥川恭伸。ブルペンでも充実したピッチングを見せていた
2015年の首位打者の川端だが、このところ筆者は毎年のように西都の二軍キャンプで姿を見かける。ベテランらしくマイペースで始動しているのだ。ここ2年合わせて一塁を10試合しか守っていないが、川端の動きは軽快だった。春のこの時期に、身体をいじめておくことでシーズン通じて活躍できるのだろう。
池山監督が絶妙なノックで選手をかわいがった
ノッカー後ろで笑っていた池山隆寛二軍監督が、おもむろにバットを振り始めた。そして三塁手、遊撃手に向かってノックし始めた。
ただのノックではない。当たり損ねのようなぼてぼての当たり。ポップフライ。三塁線に大きく逸れる当たり。太田、澤井廉など若手選手たちは、文字通り右往左往してボールを追いかけている。
「足が止まっとるぞー」
「そこまでかー」
池山監督のノックバットのコントロールは抜群だ。グローブがもうちょっとで届くか届かないかの位置にボールを転がしたり、猛ダッシュしなければ届かないようなドン詰まりの当たりを打ったり。
内野ノックの最後に、池山監督は、選手を懇ろにかわいがったのだ。
ヤクルトの二軍キャンプが明るいのは、池山監督の「関西風のノリ」が大きいのだとは思う。しかしただ明るいだけではなく、締めるところはきっちり締めている。二連覇するチームならではの緩急のマネジメントがあるのだと思う。
池山監督の役割は、主力級や有望株などの選手をどんどん、沖縄県浦添市の一軍キャンプに送り届けることなのだ。奥川や西浦、川端あたりがいつまでも宮崎県にいては困るのだ。
関西弁でいうなら「とっとと出て行かんかい!」という感じで、選手を鍛え上げているのだろう。
<つづく>
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