- #1
- #2
ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
メキシコで打率3割超、元DeNA乙坂智に聞いた“この1年、何があった?”「人間は変われる」「お湯が出るとすごい幸せ(笑)」
posted2023/02/06 11:01
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Tomo Otosaka
「多くの出会いや運があって、1年間戦うことができました。毎日、試合に出場するからこそ見えてくるものがたくさんあり、野球人生においてかなりいい時間になりましたね。そして一番の気づきは、人間は変われるということ。心が体を動かすんだって」
『横浜から世界へ』を合言葉に、昨シーズン夢であるMLBを目指しメキシコとベネズエラでプレーをした元横浜DeNAベイスターズの乙坂智は、充足感を漂わせながらそう微笑んだ。
開幕直前に解雇通告という洗礼
4月から9月にかけて行われたメキシコリーグのレギュラーシーズンで乙坂は、78試合に出場し、305打数112安打、3本塁打、打率.367、26盗塁と上々の成績を挙げた。
だがメキシコでの日々は、成績や乙坂の笑顔とは裏腹に、日本では想像もできなかった出来事の連続だった。
まず加入したメキシコの名門ディアブロス・ロホス・デル・メヒコ(英語名メキシコシティ・レッドデビルズ)では、オープン戦で4割弱の打率を残しながら、開幕直前の4月17日に、球団から解雇(リリース)通告を受けてしまう。成績を見るとまさかと感じられるが、思い当たる節はあったと乙坂は述懐する。
薄々感じていた「俺はこのチームにいらなんじゃないか」
「ディアブロスの練習に参加して、薄々『俺はこのチームにいらないんじゃないか?』って感じていたんですよ。同じ外野手には、MLBでホームランキングになったクリス・デービスやヤンキースやブルワーズでプレーをした長打力のあるラモン・フローレスがいました。メキシコシティは標高2400メートルにあって、ボールが飛びやすいから長距離砲が重宝される。僕はフォアボールや内野安打で出塁して相手にプレッシャーを掛けるタイプなので、チームにとってプライオリティは低いなって。結局、開幕直前にリリースを言い渡されて……」