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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
DeNA戦力外→MLBキャンプ招待、乙坂智29歳が語る“中南米からの逆転秘話”「(41盗塁は)人生かかっているから足も速くなります(笑)」
posted2023/02/06 11:06
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
Tomo Otosaka
トモ、ベネズエラに行こうよ!
MLBに向けステップアップを図る乙坂智をベネズエラのウィンターリーグに誘ってくれたのは、ディアブロス時代の同僚だったベネズエラ出身のラモン・フローレスだった。
「トモ(乙坂)は冬どうするのかと訊かれて、いや決まってないと言うと『じゃあベネズエラに行こうよ!』って声を掛けてくれたんです」
ずっと行きたかった南米の野球大国ベネズエラ。出会いと運が、行くべき道を照らしてくれる。
所属チームはブラボス・デ・マルガリータ。標高の高いメキシコとは異なり、ベネズエラは海抜0メートルの地域が多い。赤道にも近く、焼けつくような日差しが身に染みた。だが新しい環境に、もはやひるむ乙坂ではなかった。10月にチームに合流し、翌年1月までつづくリーグ戦でプレーすることとなった。
生き残るためのセーフティバント
「ベネズエラはメキシコとくらべると選手はアスリートといった印象ですね。クレバーな選手が多い。アメリカ3Aの選手が普通にいましたし、メキシコよりも間違いなくレベルは高いと思います。またMLBの選手も調整で参戦していて、相手チームにオリオールズのルーグネット・オドーアやロイヤルズのサルバドール・ペレスがいたりしましたからね。いいピッチャーも多くて、これは難しいなと思うと、セーフティーバントを狙ったり、とにかく出塁しようって。正直、日本にいるときはセーフティーで出塁しようって発想はあまりなかったんです。とにかく試合に出つづけるために印象付けなくちゃいけない」
乙坂はメキシコよりもレベルの高いベネズエラでも1番センターを任され、自分のやるべきことをやろうと自分と向き合った。結果、16試合連続安打を放つなど、次第にチーム内で信頼される存在になっていった。
“足が速くなった”乙坂、飛躍の本当の理由は?
ベネズエラでの最終成績は、56試合に出場し、192打数64安打、打率.333と及第点ともいえる数字を残している。しかも15盗塁でリーグ盗塁王に輝いているから驚きだ。