“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「お前ストライカーだろ!」18歳福田師王が燃えた“怒声”と“同い年のブンデスデビュー”…覚悟の高卒ドイツ直行「時代を変えたい」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJIJI PRESS
posted2023/01/25 11:01
ブンデスリーガ・ボルシアMGのユニホームを着て笑顔をみせる神村学園FW福田師王
“地獄”と“充実”の1週間をそれぞれ過ごした福田は、卒業後に海外でプレーすることを本格的に選択肢として捉えるようになっていく。
ドイツでの練習参加が報じられてからは、「Jリーグを一度経験してから海外に行った方がいいのではないか」という声が福田の耳にも届き始めた。
Jリーグか、海外か。
悩んだ高校3年生は、ここでもう一度、ドイツに行くことを決断する。22年8月に評価が高かったボルシアMGに再び練習参加することになった。
「めちゃくちゃ削りにくるんです。こっちも熱くなって強く行くんですが、向こうもさらに強く来ましたし、めちゃくちゃ要求してくるんです」
あいつは2度目だよなーーチームメイトからすれば、1度目と違って仲間になる選手だと認識された違いはあったかもしれない。でもそれはライバルになる可能性があることも意味していた。周囲の空気の変化を敏感に感じ取った福田は「もうお客様ではない」と感情を剥き出しにした激しいバトルに身を置いた。
「お前、ストライカーだろ!!」
練習から張り詰めた緊張感の中で、忘れられないシーンがある。
クロスに対して選手2人がニアサイドとファーサイドに飛び込んでシュートを決めるトレーニングをしている時のこと。福田はニアサイドに飛び込んだ。そこにライナー性のクロスが届くと、福田はスルーしてファーサイドの選手にシュート機会を託した。結果、飛び込んだ選手に合わなかった。「合わなかったか」と引き上げようとしたその瞬間、後ろから怒鳴り声が聞こえた。
「お前、ストライカーだろ! 何で触らないんだ!!」
味方が福田に殴りかからんとするくらい怒りをぶつけてきた。甘さを痛感した瞬間だった。
「確かにコーチからも『ニアサイドに飛び込んだら絶対に触れ』と言われていたんです。その言葉を浴びせられて、燃えないわけがないじゃないですか」
たった1つの出来事で福田の価値観はガラリと変わった。何が何でもゴールを決める。それがこの世界で生き残る術だ。ここでの経験は選手権で挙げた3つのゴールシーンにもつながっていた。相手を背負ってでもゴールに向かうドリブル、誰よりも速いこぼれ球への反応は、短期間で得た“収穫”が生んだゴールとも言える。
「たった5カ月で…」同じ18歳がデビュー
さらに、海外移籍への気持ちが傾く出来事もあった。1回目の練習参加時にU-19チームで一緒にプレーをしていた同い年のイヴァンドロ・ボルジェス・サンチェス(ルクセンブルク代表)が、すでにトップチームのベンチ入りを果たし、ブンデスリーガのピッチに立っていたのだ。
「たった5カ月の間にチャンスを掴んでトップのベンチに座っている。その姿を見て、『これが世界か』と思ったんです」
練習参加を終え、帰国してから正式にオファーをもらった。即答はできなかったが、コーチ陣から的確な課題を指摘されるなど、“自分を見てもらっている”手応えも感じることができた。