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プロ野球PRESSBACK NUMBER
〈最後の近鉄戦士〉坂口智隆が明かしたあの日…「俺たちどうなんの?」寮のテレビで知った球団消滅 引退スピーチに込めた“いてまえ魂”の秘話
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2023/01/23 11:01
近鉄、オリックス、ヤクルトで活躍し、昨シーズン限りで現役引退した坂口智隆氏
大紛糾の末にあっけなく決まった進路。とはいえ、坂口本人はその状況を冷静に受け止めていたという。
「まあ、プロ野球はそういうところじゃないですか。トレードというケースもあるし。とにかく野球が出来る。良かった、と。オリックスに移って、転校生のようなドキドキ感はありましたけど、同じウエスタンで知っている人もいましたし、慣れるまではそんなに時間がかからなかったですね」
「最後の近鉄戦士」と呼ばれて
今振り返ると、「近鉄」での2年間は、坂口にとってどのようなものだったのか。
「近鉄は自分をプロ野球選手としてスタートさせてくれた球団。あの2年間がなければ今もない。貴久さんが教えてくれて、二軍である程度打てるようになったことが自分の背中を押して勢いをつけてくれた。あれがなければ上のレベルでは打てなかったでしょうし、自分の土台となった2年間だったと思います」
昨シーズンまでの現役後半は、かつて近鉄に所属した選手が引退していくたびに「残り○人」と名前が挙がり、最後に同じヤクルトで過ごした近藤一樹がNPBを去ってからは「最後の近鉄戦士」と言われた。
「近鉄OBやスカウトの方なんかに会うと、“少しでも長く現役やってくれよ”と常々声をかけていただいていました。周りの方に言われるようになって自分も意識し始めて、最後の生き残りになったからにはそれを背負う責任があるな、と思っていました。自分に何ができるかというと、現役を長く続けること。長くやれば最近のテレビではテロップで『最後の近鉄戦士』って出るでしょ。テロップを出すたびに『近鉄』って文字も登場する訳だから。それくらいしか僕にはできなかったですけど、それも出来る限り長く続けていこうと頑張る理由の一つにはなっていたんです」
〈つづく〉
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