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「たぶん、彼はずっと挑戦し続ける」羽生結弦と関係の深い音響デザイナー・矢野桂一が、「羽生の演技には絶対的なものがある」と語る理由
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2023/01/23 17:02
平昌五輪フリーの『SEIMEI』を終え、晴れやかな笑顔を見せた羽生結弦
そしてこう続ける。
「これから、ということで言うと……僕らがついていくことができないぐらい、彼はいろいろなことを考えているので、今までにとらわれないような形をこれからいろいろ作っていくんじゃないかな、と思っています。彼自身によるプロデュースという部分も楽しみですし、新しい形のものと言いますか、想像はつかないんですけれど何かを作っていってくれるんじゃないかなと期待しています」
『GIFT』にも羽生の依頼でアドバイザーとしてかかわる
2月26日には東京ドームでアイスショー『GIFT』を開催することが発表された。同会場でアイスショーが開かれるのは史上初のことだ。この公演には、今までと異なる形でかかわるという。
「音響は別のところでやることになっていたので、もともとは携わる予定ではなかったのです。ただ、今までアイスショーをやったことがないので音響のプランを一度見てほしいということで見させていただき、この形だと羽生さんが大切にする音とのシンクロができないんじゃないかとお話ししました。その後、羽生さん側から依頼されてアドバイザーとして入ることになりました。彼が何を望んでいるのかを伝える、通訳的な立場と言うのでしょうか。直接オペレートするのではなく言葉で、というのはもどかしい部分がありますし、東京ドームという会場は構造的に音響のプランを作るのが難しいところがあります。お客さんが見て『音と動きが合ってない』とはなってほしくないですし、彼が現場に行って困らないように、できるだけお手伝いしたいと思います」
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