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野球クロスロードBACK NUMBER
巨人の獲得は「ムードメーカーとして、と思ったんすけど…」松田宣浩が原監督との電話で言われた“意外な言葉”…「浮くくらい頑張ります」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKeiji Ishikawa
posted2022/12/26 11:03
来シーズンから巨人入りが決まった松田宣浩にインタビュー(後編)
原監督が電話で伝えたこと
11月8日の合同トライアウトが終わり、自由契約選手の交渉がオープンになると、松田のもとに球団から連絡があった。
逡巡の必要などない。「お世話になります」と即答した松田は当初、巨人が獲得してくれた理由を自分なりに推察していた。
43試合の出場で打率2割4厘、ホームラン0本。今シーズンの不甲斐ない成績から巻き返したい気持ちは言わずもがなとはいえ、年齢を鑑みればスタメンではなくリザーブの可能性が高いだろう。ただ、チームが変わろうと、代名詞の『熱男』が象徴するようにチームに活力を与えられる自信があった。
「ジャイアンツからは『ムードメーカーとしてチームを変えてくれ』ってことを期待されてるのかなって思ったんすけど、違いました」
巨人が松田を獲得した狙いは、あくまで野球選手としての能力を買ったからだ。
「もう一度、松田君の持ち味のバッティングと守備をしっかりと出して、レギュラーを獲るつもりで勝負してもらいたい」
球団と話した後に電話をくれた、監督の原からも同じように奮闘と再起を期待された。
「君が熱い男であることは知っている。今年は厳しい1年だったかもしれないけど、何歳であってもユニフォームを着る以上は戦力として考えているからね。ジャイアンツではレギュラーを獲るつもりで頑張ってくれ」
あごひげも剃って…「飛び込んでいこうと」
凋落したからといっても、実績は過去の産物とはならない。積めば積むほど選手に自信が養われる。巨人は自分に、可能性を示してくれた。だからこそ、より覚悟が固まったのだと、松田が気概を見せる。
「自分は『元気な熱男』のイメージがあるかもしれないし、来年40歳にもなるけど、ジャイアンツから声をかけていただいて入る以上はお客さんじゃないと思ってるんで。『また、一から頑張ろう!』って気持ちはありますけど、17年間やってきたっていう経験だったり、成功体験っていうのは自分の武器でもあるんで、それを引っ提げてジャイアンツに飛び込んでいこうとは思っています」
球団と正式に契約を結んだ日。松田はトレードマークのあごひげを剃った。心身ともに巨人軍の一員となった瞬間でもあった。