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巨人の獲得は「ムードメーカーとして、と思ったんすけど…」松田宣浩が原監督との電話で言われた“意外な言葉”…「浮くくらい頑張ります」 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2022/12/26 11:03

巨人の獲得は「ムードメーカーとして、と思ったんすけど…」松田宣浩が原監督との電話で言われた“意外な言葉”…「浮くくらい頑張ります」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

来シーズンから巨人入りが決まった松田宣浩にインタビュー(後編)

背番号「23」の意味

 そして、11月15日。東京都内のホテルで広島から復帰した長野久義との同日入団会見が行われ、松田は巨人のユニフォーム姿を初披露した。背番号は「23」。一の位と十の位を足せば、ソフトバンク時代に付けていた愛着ある「5」となる。また、「チームの兄貴的な存在となってほしい」という球団の想いから「兄さん(23)」という語呂も含まれているのだそうだが、松田としては「いただいた番号でやる」くらいしかない。

 それよりもモチベーションを高めさせてくれたのが、巨人の注目度である。

 ソフトバンクも人気球団ではあるが、巨人はその比ではない。ホテルの大広間を埋め尽くさんばかりの報道陣。カメラマンが放つまばゆい無数のフラッシュが、松田にそのことを実感させていたし、何より燃えた。

「ジャイアンツこそ、自分の力を最高に出せる場じゃないかなって」

 松田が興奮を言葉にする。

「39歳で会見って言ったら、引退の時でしょ、普通は。それをね、長野選手と一緒にあんな場を設けていただいてね。『これまでやってきたことを、いっぱい出せるんじゃないか』って、ワクワク感があります。『松田、めっちゃホームラン打ってるやん!』ってファンが喜ぶ姿、想像できます! 最後の悪あがきの場所としては最高やなって思いますね」

トレーニングの「内容は言わんです」

 1日、また1日。「ジャイアンツの松田」はデビューに向け、臨戦態勢を整える。

 巨人ではソフトバンク時代の主戦場だったサード、ファーストも守る。そして、2010年シーズン以来となる外野にも、本格参戦するつもりでいる。グローブは古巣時代の戦友、柳田悠岐から譲り受けたものを使うという。

「立場的に、自分から元気に打って、守って、走れるってところを見せていかないといけない。『松田ってまだ、こんなに速い打球を打つし、守備でもダイビングするし、全力疾走できるんだ』ってところをね」

 プレーの幅を広げられること。それは、松田の体の強さとも比例する。ソフトバンク時代は、骨折など大きな故障以外で戦線を離脱したことがほとんどなく、39歳となっても「どこにも不安はない」と言い切るほどだ。

 今、その肉体をさらに進化させるべく、トレーニングに励む。

「内容は言わんです。別に言う必要ないでしょ。ただ、今まで取り組んできたことのプラスアルファとして、10月から中長期的な目的でやってます。身体の感覚はすごくいい」

 そうぼんやりと説明して、松田は「気になっといてください。言わんけど」と、ニヤニヤしながら口を閉じる。

【次ページ】 「浮くくらい頑張ります」

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