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「トミヤスは必ず大物になるぞ」「ホンダはサムライ」闘将ミハイロビッチ53歳で死去…“何度殴り合ったかな”反骨伝説の源とは
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byLaPresse/AFLO
posted2022/12/19 17:12
ボローニャ時代、冨安健洋をハグするミハイロビッチ。鮮やかなFKアーティストであり、熱血度満点の闘将だった
「監督として最も誇らしいのは、選手たちとの絆を感じるときだよ。私は頑固者だと人は言う。その通りだ。だが、間違いがあればそれを認め、謝罪する分別くらい私にもある。私だってこの世にもういない親しい人たちのことを思って悲しんだり、泣いたりもする。それがより人間らしく生きるってことだろう」
「治療を始めるのが楽しみでたまらん」
白血病罹患を公表したとき、ミハイロビッチは「治療を始めるのが楽しみでたまらん。俺は勝つ。絶対に病魔に勝つ」と笑みを浮かべた。死の恐怖を前にした1人の人間がこれほどの強さと胆力を持てるのか、と震撼した。
あまりに突然だった。
睨まれた視線。会見で交わした言葉。緊張のほぐれた笑顔。生前の言動があまりに苛烈だっただけに、記憶はより鮮明に思い出され、胸の痛みが重い。
ミハイロビッチの魂は今、どこにあるのだろう。
願わくば、故郷ブコビルの方角へ向かってほしいと思う。仮に、魂が冥府へ連れて行かれようとしても、シニシャは死神など恐れるはずがない。
えげつないタックルを死神に仕掛けて、ニヤリと勝ち誇るミハイロビッチの姿しか、僕には思いつかない。
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