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大学野球PRESSBACK NUMBER
父は名将・馬淵史郎、拓殖大監督・馬淵烈33歳が感謝する“師匠”からの教え「親父からは『とにかく勝て』と」「高嶋仁さんからは…」
text by
内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/12/23 11:01
現在、拓殖大野球部の監督を務める馬淵烈。青年監督のこれまでの野球人生をインタビューで聞いた
「あの優勝がないというムードの中で、勝って3位になったというのが大きいと思うんですよね。電話で話をよくするのですが、甲子園で活躍している子が必ずしもU18で活躍できるのかっていうと、それは違うと難しさも語っていました」
狭間善徳監督から教わった浜口京子さんの話
明徳義塾中時代、指導を受けた狭間善徳さんには、2004年アテネ五輪女子レスリング72キロ級の準決勝で敗れながらも、3位決定戦で勝利した浜口京子さん(44)を例に出され、こう言われたという。
「金メダルを目指してきて、獲れなかったんだから、やる気がなくなって当然なんだ。でも、それでも全力を尽くして銅メダルを獲った。お前らもそういう気持ちを大事にしろよ」
目標を失ったあの秋のリーグ戦の時も同じだった。全員が現実と向き合い、気持ちを切り替え、全力で戦ったからこそ勝ち取ることのできた優勝という「銅メダル」は、1部昇格以上に眩しい輝きを放っていた。だからこそ、馬淵さんはその時のことをどこか嬉しそうに熱っぽく語る。
高嶋仁さんに聞いた「監督として大事なことは何ですか」
智弁和歌山の前監督で甲子園歴代最多の68勝を挙げた高嶋仁さん(76)の教えも胸に刻んでいる。高嶋さんが講演で群馬を訪れた時、たまたま隣の席に座る機会に恵まれ、質問してみた。
「監督として大事なことは何ですか」
返ってきた答えは、シンプルながら重みのあるものだった。
「もちろん人の話を聞くことは大事だけれども、自分の思ったことをやればいい。そしたら勝てるようになった」
目の前の霧がすうっと晴れた。