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モドリッチ「優れたチームが勝つわけじゃない」、メッシ18歳は初W杯で…「化け物」の超・強心臓〈トルシエはモロッコ4強予言〉
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/11 17:01
モドリッチとメッシ。タイプは全く違う2人とはいえ、ナンバー10として英雄的立場にいる
エースのエムバペはイングランドの包囲網に封じられて無得点に終わったものの、対面したDFとのスピード勝負でぶっちぎるなど、重要な局面で強烈な個の力を見せる場面をつくった。
とはいえエムバペは決勝トーナメント1回戦までの4試合で5ゴールと、得点ランキング首位に立っている。特にポーランド戦では今大会好調だった相手GKシュチェスニーも為すすべなしの痛烈な2ゴールを叩き込み、見る者を戦慄させている。
そんなエムバペはロシアW杯で史上2人目となる決勝でゴールを決めた10代選手となった(1人目は1958年大会のペレ)。優勝直後のピッチサイドで「フランスを幸せにできて嬉しい。短い間かもしれないけれど、人びとは様々な問題を忘れることができるだろう」と語った際の表情は、19歳のそれとは思えないほど落ち着いていた。
「単にサッカーの世界の中でのステイタスではない。チャンピオンであること自体に意味があるし、とても凄いことだと思う」
この言葉を23歳となった今、カタールの地で連覇という形で実現するのか。
「メッシのW杯はまだ終わらない!」
<名言4>
この年で最初のワールドカップに出られるなんて夢のようだ。
(リオネル・メッシ/Number653号 2006年5月18日発売)
◇解説◇
「メッシのW杯はまだ終わらない!」
ABEMAの実況を務めた寺川俊平アナウンサーも絶叫するほどのエモーショナルな戦いだった。
準々決勝アルゼンチンvsオランダ、飛び交ったイエローカードは最終的に計18枚。主審がゲームをコントロールする術を失ってしまい、アルゼンチンのパレデスが相手ベンチにボールを蹴り込むなど……両軍ともヒートアップしすぎた中で突入したPK戦でも、選手が平静さを失ってもおかしくなかった。実際、先攻オランダの1番手で、世界最強クラスのDFであるビルヒル・ファンダイクですら失敗してしまったのだから。
しかしメッシは冷静だった。後攻1人目で登場すると、相手GKの重心を見極めて、逆を突く“コロコロPK”で難なく成功。その後ゴール裏に大挙したアルゼンチン人サポーターを鼓舞し、ムードを一気に引き寄せた。
5人目のキッカーとして勝利を呼び込んだラウタロ・マルティネスに全員が駆け寄る中、メッシは殊勲のPKストップをしたエミ・マルティネスの元へと向かった。キャプテンとしての自覚を感じさせる行動に、人間としての円熟味を感じさせた。
そんなメッシがW杯という大舞台で鮮烈なデビューを飾ったのは、今から16年前、ドイツW杯でのことだった。
2006年3月、アルゼンチンのフル代表で初ゴールを上げたメッシは、ドイツW杯のメンバーに選ばれた。まだバルセロナのトップチームでもあまり出場していなかったときだが、母国では彗星現ると大騒ぎになっていた。