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モドリッチ「優れたチームが勝つわけじゃない」、メッシ18歳は初W杯で…「化け物」の超・強心臓〈トルシエはモロッコ4強予言〉
posted2022/12/11 17:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
<名言1>
常に優れたチームが勝つわけじゃない。
(ルカ・モドリッチ/Number957号 2018年7月19日発売)
◇解説◇
「ここには化け物しかいない」
日本代表の田中碧がクロアチア戦後のフラッシュインタビューで語った言葉である。
日本との死闘を制したクロアチアは、まだ「化け物」としての底力を隠し持っていた。現地時間12月9日に行われたカタールW杯、準々決勝ブラジル戦のことだ。
クロアチアのナンバー10を背負うモドリッチはこの日も凄まじい存在感を発揮した。タレント軍団のセレソンに対して、クロアチアは今大会が自身にとって4度目のW杯となるモドリッチやブロゾビッチ、コバチッチを中心にした連動によって、ほぼ五分のボール保持率で試合を進めた。
それでも延長前半終了間際、消していたはずの中央スペースをネイマールに攻略され、ブラジルに先制点を奪われた。ここで心が折れたとしても何ら不思議ではないのだが……カメラに映し出されたモドリッチ、そしてクロアチアイレブンの表情は死んでいなかった。
すると117分、モドリッチが守備の起点となったプレーから、クロアチアのカウンターが発動。オルシッチが左サイドを切り裂くと最後はペトコビッチが値千金のゴールを叩き込んだ。1-1に追いついてPK戦に持ちこんだクロアチアは、PKストップに絶対的な自信を持つGKリバコビッチがブラジル1人目ロドリゴのシュートを止めるなど、日本戦に続く勝利を手繰り寄せた。
モドリッチが見せる心身でのタフな戦い
ロシアW杯からカタールW杯準々決勝まで、クロアチアは決勝トーナメント6試合のうち延長戦が5試合、うち4試合がPK勝利と、そのメンタルは恐るべきものだ。そしてモドリッチはロシアW杯でも、まさに超人的な活躍を見せた。
グループステージ初戦からクロアチアの主将として身を粉にした献身的なプレーを続け、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれること3回。フランスには敵わなかったものの、モドリッチは大会MVPを手にした。「もちろんMVPは嬉しいよ。でもチームの優勝の方がもっと嬉しかっただろう。近いうちにこの受賞を祝うことになるけれど、いまは辛いだけだ」と優勝を逃した悔しさを語っていた。
それから4年半、主力の年齢がおしなべて上がっていることから、クロアチアを優勝候補に推す声は少なかった。しかし不屈の精神でベスト4にたどり着いたモドリッチたちなら、再び決勝の舞台に立ったとしても何ら不思議ではない。