プロ4年目でたどり着いたJ1のピッチはほろ苦いものだった。相手DFのレベルが上がったことで思うようなプレーが発揮できず、ゴールはわずか「4」。チームも16位に低迷し、不甲斐ない結果に終わった。しかし、町野はここでも自信を失わなかった。

「俺が点を取らないとチームが勝てない」

　チームの命運は自分の成長にかかっている。これまでの積み上げがあったからこそ、いつしか責任感が芽生えるようになっていた。

　そのオフ、町野は自分がシュートを外したシーンを分析した。「もう1つ運んだ方がいい」「ワンテンポ置いてからシュートを打った方がいい」と、自らのプレーを整理し、獰猛で冷静なストライカーになるイメージを膨らませた。この行動が町野の才能を一気に開花させる。

　満を持して迎えた今シーズン、J1第14節ヴィッセル神戸戦と第15節川崎フロンターレ戦で2戦連続2ゴールを叩き出したことで潮目が一気に変わった。

「あの4ゴールで『町野に出しておけば決めてくれる』というイメージがついたと思う。周りからの信頼が大きくなったと思いますし、自分としてもゴール前でより落ち着けるようになりました」

J1得点ランク2位→E-1選手権で初代表

　終わってみれば13ゴールでJ1得点ランク2位というキャリアハイの数字を残した。その活躍が認められ、7月には国内組で挑んだE-1選手権の日本代表メンバーに選出。その後の欧州遠征にも参加した。飛躍の時がちょうどW杯イヤーに訪れるという運にも恵まれ、そのままカタールW杯のメンバーに滑り込んだのだった。

E-1選手権での活躍が認められ、W杯前の欧州遠征メンバーにも名を連ねた町野　©︎Kiichi Matsumoto

　追加招集ではあったが、その選出は話題を呼んだ。三重県伊賀市出身にちなんだゴールパフォーマンスの「忍者ポーズ」も世界向き。明るいキャラクターも相まって、もしかしたら大会の“ラッキーボーイ”になれるのでは？　そんな期待も抱かせた。

　しかし、現実はそう甘くはなかった。

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