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試合後も涙、涙、涙…PK失敗の三笘薫は真っ赤な目で気丈に、南野拓実は報道陣に立ち止まれず…クロアチア戦直後“中継には映らなかった選手の姿”
posted2022/12/08 11:02
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Getty Images
サムライブルーのベースキャンプ地であるアルサッドの報道陣控え室に、BTSジョングクの『Dreamers』が流れてきた。
「Look who we are, we are the dreamers(僕らが誰であるかを見て 僕らは夢を追う者)」という歌詞が胸に響く、カタールW杯の公式ソングだ。開会式の翌日、ヒジャブをまとったボランティアの女性から「アンニョンハセヨ」と笑顔を向けられ、「BTSが大好きなの。開会式は興奮したわ」と言われた。「私は日本人ですが、BTSは日本でも大人気ですよ」と返したことを思い出す。
日本代表キャンプ地の報道陣控え室で音楽がかかり始めたのはグループリーグ第3戦スペイン戦の2日前から。隣接するピッチの声が聞こえないようにするためのカモフラージュの音で、スペイン戦前は『Faded』や『See you again』といった物静かな曲がかかっていた。『Dreamers』は悲願のベスト8へ挑戦する日本代表にピッタリだ。
高揚感に包まれた日本代表の前日会見
練習に先立って行なわれた会見には森保一監督とフィールド選手最年長36歳の長友佑都が出席した。ベスト8への挑戦権を握った2人からは、高揚感や意欲を感じた。グループリーグ初戦のドイツ戦、第2戦のコスタリカ戦まではやや硬い感じのあった森保監督は、第3戦のスペイン戦から徐々にリラックスしている様子を垣間見せており、クロアチア戦前はそれが高揚感に転じているような様子だった。
スペイン戦前に続いて軽快な言葉も飛び出した。
「長友さんに先に話されると自分のコメントがしづらくなるけど、良かったら長友さんが先に話してください」「クロアチアは色んな選手を知っているが、特に広島監督時代の(ミハイル・)ミキッチとは素晴らしい思いができた。彼から色んな情報が漏れないように……ジョークです」と言って会場の笑いを誘った。
長友はドーハ入り後からのハイテンションをそのままキープしていた。「明日は最高の試合と最高の結果を得て、日本サッカーの歴史に黄金の1ページを刻む。必ず勝って、大きな声でブラボーと叫びたい」と熱いコメント。W杯で表現したいことを聞かれるとイタリア語で「勇気」「勇敢さ」を意味する「コラッジョ」という言葉を紹介し、サムライと刀のたとえを用いて「コラッジョ」の重要性を説明した。長友は世界のメディアを前に堂々とサムライ魂の神髄を説いた。
「サムライが戦いに行く時、いくら技術や武器を磨いても、いざ戦いになった時に敵を前にびびっていたら技術も武器も使い物にならなくなる。サッカーも同じ。戦術的なこと、技術的なことはもちろん大事だけど、いくらこの4年間でそれらを磨いてきても、いざW杯の舞台でビビってしまったら絶対に活かせない。この4年間に僕たちが磨き上げてきた戦術、技術を生かすためにも一番大事なのはコラッジョ。勇敢に戦う日本人の魂を世界中に見せたい」