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ベスト8ならずも…日本代表はイタリアで愛された「ドウアンは魔法の電子レンジ」「ご愛嬌のトミヤス代表監督」スペイン戦後の大絶賛
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/06 11:01
イタリア人のハートをガッチリとらえた日本代表。その戦いぶりは今後に向けての1つの指針と言ってもいい
82年W杯優勝メンバーの名DFも率直に称賛
82年スペインW杯を制した重鎮タルデッリは今年68歳。同世代のイタリア人にとって、“日本=アジアの弱小国”という刷り込みは根強いだろう。だが、タルデッリは率直に称賛の言葉を並べた。
「日本はドイツに続いてスペインにも勝った。そこいらの国ではない、いずれもW杯優勝国だ。グループリーグ勝ち抜けにふさわしいチームだよ。強く印象に残ったのは、本当にラインギリギリまで諦めずに2点目のゴールを引き寄せた選手(=三笘薫)のプレーだね。あの気迫はW杯でも滅多に見られないものだ」
「全員で走って全員でつなぐのが日本のスピリットだ。より強いチームではなく、より気迫に満ちたチームが勝者になったのだ。技術的なクオリティに関して言えば、スペインとの間には差がある。しかし、一つ一つのプレーを気迫で押し続けていれば、最終的に大きな成果をもたらすことは可能なのだ」
一躍大会の台風の目となった日本代表に対し、試合翌日のイタリア各紙紙面では監督や個人へより焦点が当てられた。
日毎にベストチームやベストプレーヤーを選定している『コリエレ・デッロ・スポルト』紙では、大会12日目の最優秀指揮官に森保一監督を選出。「サッカーの本質を熟知し、チームを完全に掌握している。今大会の主役の一人」とまで褒めちぎった。
トミヤス代表監督はご愛嬌、ドウアンは魔法のレンジ
“ヤス”かぶりで『レプッブリカ』紙に「トミヤス代表監督」と誤記されたのはご愛嬌。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙は、MF堂安律へ最高個人評価「7.5」を与えた。寸評が傑作だった。
「堂安は魔法の電子レンジだ。試合を放り込んで“チン”! 何もないところから同点ゴールを取り出して、逆転弾までお膳立て。途中出場選手としてこれ以上のお手本はない。パーフェクトだ」
日本代表を褒め称えた後は、もちろん怨敵ドイツを嘲り、煽ることも忘れない。彼らのグループリーグ敗退がよほど嬉しかったと見え、一般有力紙はここぞとばかりに見出しや記事で嘲った。
「Sayonara ドイツ!」