サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
あの“三笘薫の1ミリ”、英国ではテレビ局に批判「陰謀論」「恥だ」…英国メディア「モリヤスを過小評価していた」「朝食はスシにするよ」日本代表を絶賛
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2022/12/04 17:11
田中碧の2点目をアシストした三笘薫の折り返し。ゴールラインを割っていたかどうか、VARチェックが行われゴールが認定された
番組では、日本代表の26選手のうち、全体の73%にあたる19選手がヨーロッパでプレーしていることに着目。現役時代はアストンビラなどで活躍した解説者のディオン・ダブリンは「個々の選手が欧州で積み上げている経験が、チームの力になっている」と指摘した。さらに「失礼を承知で言えば、優れた監督の下で指導を受けていれば、良い選手に成長できる。個人が良くなれば、組織も良くなるということだ。それが日本代表で起きていること」と自身の見解を述べた。
日本の快進撃を受け、サッカーの母国イングランドでも、日本への見方が少しずつ変わり始めている。
日本はチームとしても着実に力をつけていると述べたのが、解説者のグレアム・スーネスだ。1978~84年に在籍したリバプールで5度のリーグ制覇に貢献したレジェンドで、現在は解説者を務めている。
出演した番組で司会者から「今回のカタールW杯では多くの波乱が起きています。欧州各国のリーグ戦が行われている冬に開催しているのがその理由なのでしょうか」と質問を受けると、69歳のスコットランド人は次のように答えた。
「そうではなく、新興国のクオリティが上がってきているのだろう。日本代表のプレーを見ればよく分かる。彼らは経験豊富なチームに見えたし、その意味では次世代におけるフットボールの実力国と言える。イングランドとグループステージで戦い、0−0で善戦したアメリカも同じカテゴリーに入ってくると思う。両国とも本当に優れていて、実力も折り紙付きだ。彼らはついこの間、世界のサッカー界で活躍し始めた国ではない。世界的に見ても実力のある国に変わってきたということだ。強豪国との差は本当に縮まってきている」
「もっと日本について話すべき」「朝食はスシにするよ!」
日本対スペイン戦における試合中継の編成に関して、SNS上で議論の的になったことも、日本への見方が変わってきたと感じる一例だ。
イギリスのサッカー中継番組では、試合後に別枠でプレーの分析コーナーが設けられているが、今回の日本対スペイン戦では、田中の得点を導いた三笘のボールタッチが大きくフォーカスされた。ゴールラインぎりぎりのところで折り返していたとVAR判定で認められたにもかかわらず、この分析コーナーでは「なぜFIFAは証拠映像を試合中に出さないのか」「世に出せない理由でもあるのか」と、やや懐疑的なコメントに終始していた。
結局、番組は勝利した日本代表のプレーを分析することなく終了。すると、SNSでは「なぜ逆転劇を演じた日本代表のプレーにフォーカスしないのか」「日本の選手を一人も取り上げず、陰謀論まで持ち出して判定について長々と話を続けた。恥だ」と、分析コーナーの編成に批判的なコメントが相次いだのである。
英紙ガーディアンのポッドキャストでも、こうした声を取り上げ、ジャーナリストが次のように話していた。