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「冗談抜きで優勝を目指してます」堂安律はなぜあんなにギラギラしている? 負けず嫌いのサッカー小僧が日本の主役になると誓った日 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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photograph byJFA/AFLO

posted2022/12/03 11:02

「冗談抜きで優勝を目指してます」堂安律はなぜあんなにギラギラしている? 負けず嫌いのサッカー小僧が日本の主役になると誓った日<Number Web> photograph by JFA/AFLO

ドイツ戦に続き、スペイン戦でも反撃の口火を切る同点ゴールを決めた堂安律(24歳)。試合後、自身のTwitterで「優勝」を宣言した

 日の丸を背負う重みと危機感を味わった堂安は急ピッチで階段を登っていく。15年に高2でガンバ大阪ユースからトップチームに登録されると、同年5月のACLでクラブ史上2番目の速さで公式戦デビュー。6月には宇佐美貴史の記録を更新するクラブ史上最年少Jリーグデビューを飾った。

 年上の選手たちに混ざっても臆さず、自分の武器を磨いた。さらに偉大な先輩たちの技を徹底的に見て盗んだ。

「近くに(倉田)秋くんやヤット(遠藤保仁)さんや、(井手口)陽介くんという、実力を持った選手たちがいて、ワンタッチでプレーしたり、細かく動きながらプレーしていることに気付いた。僕も最初からドリブルにパワーを使うのではなく、最後の最後に相手が怖いところにパワーを持って入っていって、決定的な仕事をする方が良いと思ったんです。もちろん最初から自分でいくことも悪いことではないのですが、そこでパスをして、次のプレーで点が獲れるポジションに潜り込めれば、ボールが戻ってくればそこで点が獲れる。点を獲るために、自分が採るべき最良の方法だと」

U-20W杯、欧州挑戦、東京五輪

 すぐにチームの中心となると、程なくして世界から注目を浴びた。17年5〜6月のU-20W杯でU-20日本代表の主軸として決勝トーナメント進出に導くと、大会後にオランダのフローニンゲンに期限付き移籍。そこからオランダの名門PSVやブンデスリーガで実績を積み、東京五輪を経てカタールW杯を迎えていた。

 海外生活は全てが順調だったわけではないが、壁にぶち当たった時に立ち返るのは、16歳の時に抱いた悔しさだった。

 どんなに不利な状況でも、どんなにコンディションが悪くても、チームの勝利を信じ、自分の力をピッチで発揮する。あいつに渡せば何とかなる――そんな圧倒的な存在になりたい。カタールW杯で見せる強気な発言と鋭い目は、その覚悟の裏返しなのだろう。

【次ページ】 コスタリカ戦で不発もすぐに切り替わった“目”

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