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「冗談抜きで優勝を目指してます」堂安律はなぜあんなにギラギラしている? 負けず嫌いのサッカー小僧が日本の主役になると誓った日
posted2022/12/03 11:02
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
JFA/AFLO
「あそこは俺のコースなので」
堂安律の左足が世界中を震撼させた。
決勝トーナメント進出が懸かった運命のスペイン戦。0-1とリードされた日本は後半頭から堂安と三笘薫という切り札を投入した。
その成果はすぐに表れる。48分、三笘や前田大然らの連動した強烈なプレスによってスペインを追い込むと右サイドで伊東純也が競り勝ったボールが堂安の足元に転がった。迷いなく中央に切れ込み、得意の左足を一閃。GKウナイ・シモンの手を弾く強烈なシュートをゴールネットに突き刺した。勢いづいた日本は、その3分後に田中碧のゴールで逆転。この得点を演出したのも右サイドからクロスボールを送った堂安だった。
日本はリードを守り切り、「死の組」と呼ばれたグループを見事1位突破。日本中を歓喜の渦に巻き込んだ。
世界に印象づけた“堂安ゾーン”
ドイツ戦、そしてスペイン戦と、反撃の口火を切ったのはいずれも途中出場した堂安のゴールである。ピッチに入っていく時の目は鋭く、「俺が決める」という野心に満ち溢れている。
興奮冷めやらぬスペイン戦後のミックスゾーンで、堂安は力強くこう語った。
「なんであそこでフリーになったのがわからないくらいでしたし、『あそこでフリーにさせたら堂安律は危ないよ』ということは(世界に)伝わったかな」
強気な発言は試合前も試合後も変わらない。本田圭佑に重ねられることも多く、ビッグマウスは今や堂安の代名詞にもなった。だが、決してただの大口叩きではないことをW杯という最高の舞台で証明してみせた。