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「冗談抜きで優勝を目指してます」堂安律はなぜあんなにギラギラしている? 負けず嫌いのサッカー小僧が日本の主役になると誓った日
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJFA/AFLO
posted2022/12/03 11:02
ドイツ戦に続き、スペイン戦でも反撃の口火を切る同点ゴールを決めた堂安律(24歳)。試合後、自身のTwitterで「優勝」を宣言した
ドイツ戦ではベンチにいる時からから「この状況だったら絶対にひっくり返せる」と信じて疑わなかった。ピッチに投入されるや否や解き放たれたかのように強気な球際のプレスとボールを奪ってからの素早い攻守の切り替えを見せ、起死回生の同点ゴールを決めた。
「俺が決める。俺しかいないという強い気持ちでピッチに入りました」
スタメン出場しながらも、結果を残せずに敗戦を喫したコスタリカ戦。さすがに落胆する様子も窺えたが、ミックスゾーンで一通り話し、引き上げる瞬間には“あの目”に切り替わっていた。
「コスタリカ戦だけで僕らが積み上げてきたものがゼロになるわけじゃない。もう一度自分たちをどこまで信じられるかが重要。正直、この状況で自分を信じて自信を持ってプレーすることって一番難しいことだと思うんです。でもそれをやらないといけない。最近、戦術を強調する言葉が流行りがちですけど、ベースになるのがそこだと思います」
そうして、迎えたスペイン戦。今大会最高のサプライズと称される勝利に導いたゴールはまさに堂安らしい強気な姿勢がもたらしたものだった。
「僕はメンタルは強くないですよ。メディアを通して皆さんは『強い』と言ってくれますが、メンタルが強いというよりも、人より自分を信じているだけ。自分の意思を貫き通すということです」
日本代表は悲願のW杯ベスト8進出に向けて、前大会準優勝のクロアチアとの対戦に臨む。ただ、堂安はもっと高みを目据えている。
「このグループを突破すれば優勝は見えてくると思いますし、冗談抜きで優勝を目指しています」
8年前、悔し涙を流していた少年は快進撃の主役になった。堂安にボールが渡れば、きっと何が起こるに違いない。
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