ゴルフPRESSBACK NUMBER
〈賞金は史上最高額〉女子ゴルフ“年間女王”山下美夢有(21歳)は何がスゴい?「サバイバルで大変」今年もTOP10には若手がズラリ
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byYoshimasa Nakano/JLPGA via Getty Image
posted2022/11/30 17:02
今季5勝を挙げて年間女王となった山下美夢有(21歳)。日本人としては初めて“平均ストローク60台”を達成するなど圧倒的な強さが光った
山下の対抗馬となったのが、同い年の西郷真央だ。昨季は未勝利ながらも賞金ランキング4位。今季は開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」で初優勝を手にすると、5月までの10試合で5勝して勝率5割をキープした。
このまま勝ち星を挙げると思いきやブレーキがかかった。ストイックで完璧を求める一面が裏目に出たか、夏以降の試合では80台を叩く日もあり、終盤ではショットの精度が落ちはじめた。特に最終戦は4日間で35オーバーを叩いて最下位となり、「今はドライバーを打つことに恐怖を感じる」と吐露。
最終的に山下とは対照的な成績に終わり、「イチからやり直した方がいいと思います。まずスイングをノーマルな状態に戻すことから始めます」とオフに修正して、来季を迎えると誓っていた。
岩井ツインズは揃ってシード獲得
山下や西郷のほか、今季は若き新人たちの活躍も女子ツアーを盛り上げた。目立っていたのは、20歳の双子の岩井姉妹だ。
特に妹・千怜(ちさと)は8月の「NEC軽井沢72」と「CAT Ladies」で2週連続優勝を果たして話題性だけでなく、底力を見せつけた。姉・明愛(あきえ)は未勝利も姉妹で初シードを獲得。史上初の「姉妹同時シード入り」となった。
2003年生まれの川崎春花はルーキーながら、メジャーの「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」で山下を相手に3打差をつけて初優勝、約1カ月後の「NOBUTA GROUPマスターズGCレディース」で2勝目を達成。メジャー制覇が運やマグレでなかったことを証明してみせた。
また、川崎と同じ2003年生まれの尾関彩美悠も「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」で初優勝して、関係者たちを驚かせていたが、基礎技術がしっかりとした若手が次々と育っていることを実感させてくれる勝利でもあった。
今季でツアーから一旦退くことを決めた有村智恵(35歳)は、若手の台頭についてこんなことを話していた。
「誰かが結果を残すことで『自分もできる』となる相乗効果が生まれています。人数が多い分、サバイバルで大変だと思いますが、レベルが上がっているのは間違いありません」
プロ1年目のルーキーが勝ったとなれば、また来年はさらにその下の世代から優勝者が登場するシーンが見られるかもしれない、ということだ。