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〈賞金は史上最高額〉女子ゴルフ“年間女王”山下美夢有(21歳)は何がスゴい?「サバイバルで大変」今年もTOP10には若手がズラリ
posted2022/11/30 17:02
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
Yoshimasa Nakano/JLPGA via Getty Image
今季の国内女子ゴルフツアーは若手の強さが際立つ一方で、終盤戦ではベテラン勢の奮闘もあり、大いに盛り上がった。次々に現れる優勝者の顔ぶれも個性的で、観る者を飽きさせない魅力がある。女子ゴルフ人気は当分、続くのだろうと感じさせてくれた。
今季から年間50位までに与えられるシード権が、メルセデス・ランキングに一本化された。2019年までは賞金ランキングのみで、2シーズン(2020-21)が統合された昨年は賞金とメルセデスの両ランキングだった。
つまり、コンスタントに試合に出場し、かつ上位フィニッシュした者がより大きなポイントを獲得できるとあり、1年を通したコンディションの良さと、技術力とメンタルの強さがよりリアルに反映されるようになった。賞金の大きな大会で優勝した選手のランキングが一気に上がって、シード獲得に近づくようなことはなくなった。
一方で“逆転劇”が起こりにくいため、見ている側からすれば面白みに欠ける部分がある。それでも選手側からすれば、実力が直に反映されるシステムのため公平さが保たれ、総合的に“強い”選手がランキングの上位に来るようになった。
“年間女王”山下美夢有の強さとは?
そういう意味では、年間女王となった山下美夢有の強さは際立っていた。
“新世紀世代”と言われる21歳は、身長150センチと小柄ながらもゴルフは緻密で大胆。今季初優勝は国内メジャーの「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」。その前の3試合は予選落ちしていたとは思えないほど、初日から首位を守って完全優勝し、勝負強さを見せつけた。
山下の快進撃はここからだ。
6月、山下は女子プロゴルファーなら一度は挑戦してみたいと思うであろう全米女子オープンへの出場を断念。「実力的に上位で戦える感じではない」と国内の試合に集中すると判断すると、その後の「宮里藍サントリーレディス」で今季2勝目を挙げ、その翌週から10試合連続でトップ10入り。海外を敬遠していた山下だが、その間には「AIG全英女子オープン」に出場して13位と好成績を残して帰国。9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」では今季3勝目をマークした。
終盤戦は“無双状態”で、11月の「伊藤園レディス」で今季4勝目を手にして、早々に年間女王のタイトルを手にした。