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「バンザーイ、我々はまだ生きている!」ドイツ紙は“日本の敗戦”をどう伝えた? 「ヨシダは悲劇の主人公になってしまった」という嘆きも
text by
円賀貴子Takako Maruga
photograph byTakako Maruga
posted2022/11/29 17:01
スペイン戦翌日、ドイツの大衆紙『ビルト』には決勝トーナメント進出に望みを繋がったことを喜ぶ見出しが躍っていた――“我々はまだ生きている!”
翌28日発行の同紙プリント版一面の見出しはこうである。
《バンザーイ、我々はまだ生きている!》
中面では「我々は試合に戻ってきた。救済者はニクラス・フュルクルク」。ハンジ・フリック監督に対して「ハンジ、コスタリカ戦でもフュルクルクの得点で私たちを16強入りさせなければいけない!」と、早速、最終節でもこのFWを先発起用するよう求めた。
選手のパフォーマンス採点では、もちろん殊勲のフュルクルクに最高点の1がついた。「イエス、我々には再び点取り屋がいる!!! 交代で入った後、5メートルエリアがすぐに燃え始めた!」と評した。
日本vsコスタリカ戦については「グラシアス、親愛なるティコス!(ありがとう、親愛なるコスタリカ人たち)」という見出しの記事で触れるだけ。0-7でスペインに負けた後、日本を相手に全力を捧げて1-0で勝利し、ドイツをW杯で生き残らせたコスタリカには感謝しきれない様子である。
キッカー誌のレポートには「墜落」
ビルト紙と比べるとだいぶ冷静なトーンで詳しい分析が売り物のキッカー誌は、《勝ち点1! 希望は生き続ける》と見出しを打った。
「この日一番重要なゴールは、すでに昼頃に決まっていた」
真っ先に伝えたのは、コスタリカ代表DFケイセル・フレールが日本戦でゴールを決めたことが、その夜にスペイン戦を控えるドイツ代表の置かれた立場をガラッと変えたこと。ドイツ代表選手たちは、同日のスペイン戦で敗れたとしてもまだ敗退しないことがわかり、その前の数日間のしかかっていた重圧から解放されたというわけだ。
さらに、日本vsコスタリカについての試合レポートには「墜落」の見出しがつき、「23日のドイツ戦後の記者会見で日本の記者たちから拍手を送られた森保監督に、この日は厳しい質問が飛んだ」と伝えている。