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本田圭佑「安定って言葉は、僕の辞書にない」25歳の本田が語っていた”非エリート”の思考法「逆算の方程式はできていたね」
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTamon Matsuzono
posted2022/11/27 17:10
2010年南アW杯の翌年、CSKAモスクワでプレーしていた本田圭佑に直撃インタビューすると…驚きの思考法を明かしてくれた
「すごいシンプル。当時、ユースってプロに行ける可能性が低かったと思うんですよ。オレはプロになるという目標から逆算して、そのためには子供ながらに高校選手権に出ないといけないと思った。選手権に出て大活躍すれば、プロのスカウトの人の目に留まるから。そういうことを中学1年生のときに考えて、高校サッカーの方に行くって決めていた」
――そんなに早い段階で。
「そうそう。今みたいな状況であれば、ユースもありだなって思ったかもしれないけど」
逆算の方程式はできていたね
――中学生のときは毎日がむしゃらに練習して、そういうことを考える余裕はない気がする。思考のゆとりはどこから?
「ゆとりなんてなかったよ。本当にサッカーのことだけを考えていたから。でも、今考えると、逆算の方程式はできていたね。目標から遡って何をすべきかっていう。選手権に出て、プロになって、海外に出るっていう道は、中学生のときに描いていたわけだから。まあ、これは親父の影響だよね。親父の教育が今考えたら大きかった」
――父親から逆算しろと言われた?
「いや、親父は『これをしろ』とは絶対に言わなかった。ただひとつだけ『なんかするなら絶対に1番にならな話にならん』って。ホンマそれだけ。具体的にこうしなさいって言われたことは一度もない」
――とにかく1番になれと?
「サッカーだけじゃあかん。バスケでもバレーでも野球でも、なんでも1番になれって。だから僕は小学校からなんでも1番だった」
――じゃあガンバユースに落ちたのは心の傷にならなかった?
「いや、でもねぇ……やっぱり傷ついたし……悔しかった! 悔しくてしょうがなかった。それこそ当時、自分よりも上手いやつがいるってことを認めようとしなかった。オレの方が全然上やんって。ガンバの指導員はホンマ見る目がないやつやんってね」
――そういう悔しさは原動力になった?