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本田圭佑「安定って言葉は、僕の辞書にない」25歳の本田が語っていた”非エリート”の思考法「逆算の方程式はできていたね」
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTamon Matsuzono
posted2022/11/27 17:10
2010年南アW杯の翌年、CSKAモスクワでプレーしていた本田圭佑に直撃インタビューすると…驚きの思考法を明かしてくれた
「もちろん、そうですよ。やっぱり人間って誰しもそういうコンプレックスを抱えながら生きていると思う。で、自分でモチベーションをあげて、奮い立たせる。自分を支えるのは自分しかいないから」
ずっこけない成功なんてないんですよ
――早い段階での挫折っていうのはエネルギーになる。
「そうだね。このたとえでふさわしいかわからないですけど、子供の頃悪いやつは大人になるといいやつになるってよく言うじゃないですか。それと一緒で、挫折をわかっている人間は、何が本当の成功なのか、どうやったら挫折を乗り越えられるのかをわかっている気がする。逆に順調に来たやつは、大人になってずっこける可能性がある」
――きっとその不安が安定志向につながるんだよね。
「ずっこけない成功なんてないんですよ。ずっこけ方を早いうちから学ばないと、あとで立ち直れなくなる」
――転んだ経験のある人の方が、のちに這い上がる可能性があると。
「最近、サッカー界でも多いでしょう? ユウト(長友佑都)もそうだし、オカ(岡崎慎司)もね。オレらの世代はそういうコンプレックスを抱えてる」
――谷間世代だと?
「谷間世代だとは思っていないですよ、僕は。その前にすごい世代がいなきゃ谷間にはならないでしょ。その前にいた誰がすごい世代なの? 日本人で誰がすごいのか教えてくれって思っているから」
――確かにそうだ(笑)。北京五輪もいい挫折になった?
「もちろん。あれはあれでやっぱり悔しかったし」
――心の傷には?
「傷にはなっていない。あれは負けたなんて自分では認めていないしね。オレはあのあといろいろ言われたけど、あんなの(オランダ戦でバベルを倒して与えたPK)は未だに審判のせいだって思っている。PKなんてなかった。負けてなんかなかった。試合に負けたのは事実だけど、負けていないっていう気持ちは大切にしようって思っているから」
――それは面白い発想だ。挫折を歓迎はしているけども、挫折を負けたと思っていないということ。
「結果的には挫折だけども、気持ちではくじけてない。気持ちは一切折れてない」
<後編に続く>
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