「僕たち自身もここで3バックをやるとは思っていなかったですけど、監督はその可能性を示唆していました。ぶっつけ本番のところは正直ありましたし、試合のなかで（形を）作ることはありましたけど、そこで決断した監督は素晴らしいなと思います」

なぜ選手たちに迷いが生まれなかったのか？

　指揮官の決断は、選手たちのメンタルにスイッチを入れた。世界を驚かせる後半は、システム変更から幕を開けたのだ。鎌田が語る。

「前半を終えた段階で何か変えないと難しいなと思っていたときに、監督がしっかり決断をしてくれた」

　長友の言葉は示唆に富む。ほとんどぶっつけ本番だったとしても、選手たちに迷いはなかったのだ。

「4バックも3バックも、僕らはかなりトレーニングをしてきた。試合中に変える可能性があるのは森保さんから伝えられていたし、3バックに変えてからも誰も疑問に思うことなくできたのは、トレーニングの成果だと思います」

ドイツ戦後、歓喜の雄叫びをあげる長友佑都　©Kiichi Matsumoto/JMPA

　3-4-2-1への変更に加えて、指揮官は選手交代に強いメッセージを込めた。75分までに交代カードを使い切り、攻撃的な選手をズラリと並べた。1トップの浅野拓磨を頂点に南野と堂安が2シャドーに入り、伊東と三笘がウイングバックに立ち、鎌田がダブルボランチの一角を担う──W杯で初めてとなる逆転勝利は、周到な準備と迷いのない決断、さらにはかつてない攻撃的な姿勢が呼び込んだものだったのである。

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