セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「アサノが有力紙1面」「トミヤスは世界を驚かせると…言った通りだろう!」なぜイタリアが“日本、ドイツに逆転勝利”で超ノリノリなのか
posted2022/11/26 11:03
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Kiichi Matsumoto/JMPA
イタリアは日本への祝勝ムードでいっぱいだ。
ドイツへの大金星から一夜明け、イタリアの各メディアは一斉に日本の快挙を報じた。
有力スポーツ紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』の1面ではFW浅野拓磨が吠え、大手全国紙『レプッブリカ』は「ジャッポーネ(日本)は『キャプテン翼』より高く飛ぶ」と会心の勝利を絶賛。試合を中継したイタリア公営放送RAIの実況では、辛口で知られる解説者ダニエレ・アダーニが、決勝ゴールの瞬間、「これは(今年のバロンドールを受賞した)ベンゼマ級のスーパーゴールだ!」と絶叫した。
中継では日本代表の多くがドイツでプレーしていることにも触れられ、「決めたのはブンデスリーガの息子たちだ!」との名実況も生まれた。もちろん、DF長友佑都やDF吉田麻也、DF冨安健洋といった元セリエA組のプレーぶりに“彼らは我が国が育てた”と自画自賛することも忘れない。
解説者のアッズーリOBクラウディオ・マルキージオも「日本の組織プレーの勝利だ。交代枠で入った堂安(律)と浅野が決定的だった」とベタ褒め。RAIの中継では、代表戦での国歌斉唱にうるさいイタリアらしく、君が代演奏の際、涙ぐんだ森保一代表監督が「感動的だ」とひたすら褒め称えられていたことも記しておきたい。
「“ハラキリ”ってドイツ語でどう書くんだっけ?」
それにしても、ドイツの傷口に塩をなすりつけるイタリアメディアの徹底ぶりときたら、“エグい”の一言だ。
前回ロシア大会でグループリーグ敗退の憂き目を負わされた相手が韓国だったことを引き合いに出し、「再び天敵アジアの軍門に下った」「ドイツの歴史的敗北」とバッサリ。奥寺康彦を祖とする日本人選手のドイツ挑戦を報じた上で「昨日の試合に出場した16人のうち7人にドイツのクラブは給料を払っている」とチクリ皮肉った後は、より扇情的な『コリエレ・デッロ・スポルト』紙の見出しでとどめだ。
「“ハラキリ”ってドイツ語でどうやって書くんだっけ?」
両国間のライバル関係は99年前に遡る
ドイツ人が何かしらヘマをすれば、イタリア人はほくそ笑み、喝采を上げずにはいられない。
何しろ彼らのライバル関係は、99年前(!)に遡る。