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ブラジルの“日本vsドイツ報道”がカオス…手の平返し絶賛と「ネイマールのゲラゲラ風刺画」、“ナゾ走りDF”に「何を笑ってるんだ」
posted2022/11/26 11:03
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Takuya Sugiyama/JMPA
こんな手の平返しなら、悪くない。
日本対ドイツ戦は、ブラジルでは23日午前10時からTVグローボとSporTVで生中継された。
この日の早朝、SporTVでは解説者5人が試合の結果とスコアを予想。全員がドイツの勝利を予想し、スコアは4人が2-0、1人が2-1だった。新聞各紙も、こぞってドイツの、それも余裕をもっての勝利を予想していた。
TVグローボの中継を担当したのは、ブラジル唯一の女性スポーツアナウンサーのレナータ・シウヴェイラ。解説者は元ブラジル代表のリカルジーニョとパウロ・ヌネスの2人で、審判員の判定に関しては元国際審判のサビオ・スピノーラが担当した。
前半でドイツが2、3点リードしてもおかしくなかった
試合を振り返りながら、ブラジルでの中継や報道ぶりをお伝えする。
立ち上がりは日本がチャンスを作ったが、以後はドイツのペース。リカルジーニョは「ドイツが一方的に攻め、日本は守勢一方になっている。日本は、もっとボールを持ってドイツ守備陣を苦しめなければ」とコメントした。
前半31分、ドイツの左SBダビド・ラウムがペナルティエリア内でGK権田修一と接触して倒れた。スピノーラは「権田の最初の接触(注:ラウムの足元のボールを左足で掻き出そうとした際、ラウムの左足をひっかけたように見えた)と2度目の接触(こぼれたボールを追いかけた際、ラウムを押し倒したように見えた)は、どちらもPK」と言い切った。
その後も、ドイツが決定機を作り続ける。
前半について、日刊紙『オ・グローボ』は「日本は、序盤に右からのクロスをCF前田大然が決めたがオフサイドの判定で認められなかったチャンスを除くと、ほとんどドイツゴールを脅かすことができなかった。
ドイツが中盤をほぼ完全に制圧して両サイドから、さらには中央からも攻める一方的な内容で、前半だけでドイツが2点もしくは3点リードしていてもおかしくなかった」と伝えた。
情感を込めた“ドーハの悲劇”について、ちょっと勘違い
前半の終わり頃、レナータが事前に仕込んだ知識を披露した。
「このドーハのハリファ・インターナショナル・スタジアムで、1993年、日本はとてつもない悲しみを味わいました。1994年ワールドカップ(W杯)のアジア最終予選で、イラクとの最終戦に勝てば初のW杯出場を決めることができるという状況にありながら、アディショナルタイムに痛恨の失点。W杯出場の夢を逃したのです」
「ドーハの悲劇」を情感を込めて紹介したのだが、その舞台はこのハリファ・スタジアムではなく、同じドーハでもアル・アハリ・スタジアムだった。