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“ほぼドイツ代表”バイエルンに0-2も… 吉田麻也「肌で感じるのって全然違う」「けど、楽しかったです」W杯初戦へのヒントとは
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/18 17:02
吉田麻也は代表合流前に相まみえたバイエルン戦での経験を、ドイツ戦でどう生かしてくれるか
シャルケ戦でも、勝利が確定したと判断したら、あとは負傷しないようにケアしながらゲームを終わらせる展開へシフトチェンジする必要があった。
真ん中を締めたうえで、サイドでどうやって守るか
そんな“エコモード”のバイエルンだったとはいえ、ドイツ代表の主力と戦うことで、吉田は、どこに怖さがあるのか、誰に気をつけるべきか、どう対処すべきかのヒントを、少なからず手にしたようだ。
「やっぱりDFラインとボランチの間にできる真ん中のスペース、“ポケット”と呼ばれるところでボールを受けて、前を向かれると怖い。DFがポケットに釣り出されたとき、ワンツーや3人目が絡むコンビネーションの意識と精度、スピードに乗った状態でテクニックを披露するクオリティが高いと感じました。
(自分たちがうまく)守って(センターの)スペースがなくなると、サイドを使ってきて、サイドから個人技で打破してくる場合もある。だから、真ん中を締めたうえで、サイドでどうやって守るかなど、いろいろ考えながらプレーしました」
そうした意識は、ドイツ戦における日本にも必要となるところだろう。
19歳ムシアラが乗りに乗っている
バイエルンで絶好調だったのが、この日2アシストをマークしたムシアラだ。まだ19歳ながら、すでにバイエルンでの公式戦出場は100試合を数える。これはクラブ史上最速の記録だ。
今季は第15節を終えた時点で9得点7アシスト。専門誌『キッカー』が選定するゴールとアシストを合わせたスコアポイントランキングで堂々のトップタイに立っている。市場価値はすでに約145億円とも評されており、いま世界で最も注目されている選手の1人と言っていいだろう。
オフサイドになったとはいえ、67分にはロビングのパスを受けると、必死に奪いに来る相手を軽々と振り切り、GKもかわしてゴールへ流し込むプレーを見せた。
38分、バイエルンの先制点を演出したのもムシアラだ。ペナルティーエリアに侵入してパスを受けると、相手を背負いながらボールをキープし、一瞬の閃きからヒールキックでゴール前へパスを送る。シャルケ守備陣が意表を突かれて対応が遅れるなか、ニャブリがハイスピードで飛び込んできて、左足ダイレクトでシュートを決めてみせた。
そうしたバイエルンの攻撃を肌で感じられた意味は大きい。いまの時代、どんな試合もほぼ映像で確認できる。試合内容を分析して、対策を練ることができる。しかし、実際のピッチには映像分析では気づけないことがある。吉田も、そこを指摘していた。