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“ほぼドイツ代表”バイエルンに0-2も… 吉田麻也「肌で感じるのって全然違う」「けど、楽しかったです」W杯初戦へのヒントとは
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/18 17:02
吉田麻也は代表合流前に相まみえたバイエルン戦での経験を、ドイツ戦でどう生かしてくれるか
「テレビ映像で見て、ある程度は把握していましたが、やっぱり実際に肌で感じるのって全然違うなと思いました。間合いとかタイミングとか癖とか。特に僕はDFなんで、相手に対してリアクションの動きが多くなる。だからこそ、なるほどなと実感しました」
映像を見て頭に思い描いたイメージと、実際のプレーとの微調整が求められる。試合になれば常に微調整が必要だし、状況に応じた順応力がなければ、ゲームをイメージ通りに進めることなどできない。
そういうサッカーを体験できたのは、久しぶりな感じでした
常勝バイエルンでプレーするドイツ代表の主軸たち。吉田は、相手の強さをまざまざと感じながら情報収集し、同時に、そうした相手とプレーできる喜びを感じていたようだ。取材中、ふとこんな言葉が出てきた。
「けど、楽しかったです」
世界トップレベルの選手を相手に駆け引きをしつつ、勝負できる。ブンデスリーガは、そんな舞台だ。サッカー選手としてワクワクしないはずがない。
「イギリスでも、チェルシーやアーセナルは、やっぱりこういうサッカーをするんですよ。ボールを保持して、中盤の選手がどんどん絡んでくる。最前線に立つFWが、完全にポストプレーをして攻撃を組み立てるって感じじゃないんです。それこそ昔のオーバメヤンとかジルーとか、彼らが中盤のスペースに落ちて、相手DFを釣り出したところに誰かが走って来る。(トッテナムの場合は)ハリー・ケインが落ちて、ソン・フンミンが出てくるとか。そういうサッカーを体験できたのは、久しぶりな感じでした」
ならば日本は、そうした相手に対してどのように戦うべきなのか。どんなところに気をつけながらプレーすべきなのか。
「イギリスの“トップ・トップ”のチームが相手だと当たり前ですけど、1つポジションを間違えれば失点するようなところがある。例えば1失点目も、シュートが僕の半歩横を通り過ぎたので。そういうところで差が出てしまう」
そうさせないためには、チーム内でどれだけ共通認識を高められるか、さらには個々の選手が決定的な場面で優先順位を間違えずにプレーできるかどうかがカギになってくる。
ガチンコでやれるチャンスはめったにない
カタールの地で、日本は世界屈指のサッカー大国ドイツ、スペインと対戦する。日本が最大限の力を発揮しても、相手が上回ってくるシーンもあるだろう。それでも最後の瞬間まで気持ちを切らさず、相手の良さを消しながら粘り強く戦う必要がある。
サッカーというスポーツでは、相手がどれだけ強くても必ずチャンスが来る。
W杯開幕は目の前。森保一監督率いる日本代表は本番目前のカナダ戦では1-2で敗戦したものの、悲観しても仕方がない。こんなチャンスはめったにない。
「それは楽しみですよ。ワールドカップですし、ドイツとかスペイン、そんな国とやれるチャンス、ガチンコでやれるチャンスはめったにない。楽しみましょうね」
吉田は、そう言いながらロッカールームへと消えていった。力みの取れた、でも本番に向けて確固たる信念を感じさせる響きが、彼の言葉にはあった。