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ドイツ代表W杯メンバー会見「唯一の日本人記者」潜入記「日本戦スタメンは?」に監督は「教えましょうか?」と冗談めかし…
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph byGetty Images
posted2022/11/15 17:00
W杯ドイツ代表メンバー発表に臨んだフリック監督
また、フランクフルトのマリオ・ゲッツェは17年以来の代表復帰。今季は所属クラブでコンスタントに好パフォーマンスを披露していたとはいえ、フリックが監督になってから招集されたことがなかっただけに、サプライズでの選出となった。
招集理由は明確だ。
「大事なことは、選手のパフォーマンスとチームに何をもたらしてくれるかだ。マリオが優れた選手なのは誰もが知っている。高いレベルでプレーしている。CLとの過密日程でもハイパフォーマンスを維持している。トップコンディションだ。天才的なサッカー選手で、素晴らしい人間でもある」
「カマダとゲッツェのコンビネーションは素晴らしい」
14年W杯の決勝で、ドイツを優勝に導くゴールを決めたゲッツェの待望論は強かった。
そのせいか、ゲッツェの名前がモニターに映った瞬間、僕の前に座っていた初老の記者が椅子をガタッと鳴らして立ち上がった。驚き、そして喜びのリアクションだろう。後から尋ねたらフランクフルトの番記者だった。
彼は「ゲッツェとカマダ(鎌田大地)のコンビネーションは素晴らしい」と何度も話してくれた。
近年、得点力不足に悩まされてきたドイツにおいて、ファンが待望していた本格的FWのニクラス・フュルクルク(ブレーメン)に加え、17歳ユスファ・ムココ(ドルトムント)が選ばれたのには驚かされた。会場も、少しざわついていた。
フリック監督はフォローを忘れなかった。
「2人は素晴らしい成長を遂げている。フュルクルクに関してはブレーメンの監督に何度も話を聞いた。チームに何をもたらす選手なのかってね。すると、ポジティブなフィードバックをもらえたんだ。『いつも成長しようとしている』とね。確かに最後まで諦めずにプレーする選手、信頼できる選手、役割を担える選手だ。ムココも素晴らしい成長をしている。スピードがあり、機敏で、シュートが素晴らしい。ブンデスリーガの試合で、その資質を見せてくれている」
ドイツ人記者の質問後に、日本人記者としての質問を
ドイツ人記者から様々な質問が飛んだ。
「ドルトムントで好プレーを見せているフンメルスが入らなかったのはなぜか?」
「将来性も考慮したメンバー構成なのか?」
「オマーンでの直前合宿では何をするのか?」
「ミュラーのコンディション調整は大丈夫なのか?」
「ビルツの招集を見送った理由は?」
当たり前だが、ドイツの話ばかりが続く。30分ほどたったころ、広報が会場を見渡し、「もう質問はないようなので、オンラインでの質問に移ろうと思います」と話したので、さっと手をあげて、こう聞いてみた。
「日本はすでに本大会メンバーが発表されていますが、日本サッカーについてどのような印象を持っているのでしょうか? 頭には本大会用のスタメンがありますか?」