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「サッカーはベテランですけど、大学では新人教員」元なでしこ代表・安藤梢が見つけた“最高の実験台”…40歳の今も若手と競える理由とは?
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byURAWA REDS
posted2022/11/04 17:00
40歳を迎える今季も10番として存在感を放つMF安藤梢(浦和)。初代王者となったWEリーグカップでも決勝戦(10/1)でもゴールを決めている
世界の女子サッカーを見渡すと、クラブレベルではバルセロナ・フェメニが快進撃を見せ、代表レベルでもオランダ、イングランドなど欧州の国々がめきめきと力をつけるなど勢力図が大きく変化してきている。特に近年は欧州での女子サッカー人気が高まっており、多くの観客動員を記録している。そのクオリティはリバプールの指揮を執るユルゲン・クロップも絶賛するほどだ。
一方のなでしこジャパンは2011年W杯優勝以降、2012年のロンドン五輪、2015年W杯で銀メダルを獲得しているが、以降はW杯や五輪の舞台では表彰台から遠ざかり、世界との距離が広がっているように見える。安藤も「日本もそれに引き離されずにいかなきゃいけない」と危機感を訴えた。
「パスワークや連動性は日本人の強み。U-20世代は今年のコスタリカの大会で準優勝していますし、技術的にも優れている。ただ、20歳を超えてからの強化をどう考えるかですよね。私がドイツでプレーしていたときに感じたことがあるんですが、ドイツは足下(の技術)がなくても、ジャンプ力やキック力、足の速さが突出している選手が代表に選ばれていて、その一人が今はドイツ代表のエースとして世界的な選手になって活躍しているんですよ。そう考えると、もちろん日本の良さを引き出すための戦い方は大前提としてあるなかでも、今後はこれまでとは違った視点からの発掘や強化方法も必要になってくるんじゃないかなと思っています」
個性派集団が結束して掴んだ“世界一”
さらにこう続ける。
「女子サッカーのレベルも世界的に向上しているので一概には言えないのですが、優勝したときは、日本のパスワークが世界に称賛されましたが、私自身は徹底した守備があって良い攻撃につながっていたと感じています。スライディングやヘディングの競り合いなどもかなり練習していました。球際で全員がハードワークして粘り強くひたむきに戦うというのがなでしこらしさの一つなのかなと思います」
2011年W杯では安藤をはじめ、澤穂希、永里優季、宮間あや、大野忍ら個性的な顔ぶれが揃った。
「あの時は選手同士でよく話をしましたね。実はW杯に入るときはあまりうまくいっていなかったんですよ。大会が始まってから試合を重ねるたびにチームが強くなっていったというか、まとまっていったというか。一戦一戦、選手同士で意見を言い合い、話し合ったのはプラスになりましたね」
あれから10年以上が経ち、当時のメンバーはそれぞれの道を歩んでいる。