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吉田正尚・村上宗隆だけではない“日本シリーズ神宮決戦のカギ”は「急造クローザー」と… ヤクルトvsオリックス成績を徹底比較 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/10/29 06:00

吉田正尚・村上宗隆だけではない“日本シリーズ神宮決戦のカギ”は「急造クローザー」と… ヤクルトvsオリックス成績を徹底比較<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ワンプレーごとにプロ野球の醍醐味が詰まった2022日本シリーズ。数字で徹底比較して浮かび上がるポイントは?

ヤクルトの救援陣で気になるのは「清水頼み」

<投手成績>
《ヤクルト》
・先発陣
小川泰弘 1登1勝0敗5回1振3球 率3.60
サイスニード 1登0勝0敗4回4振1球 率2.25
高橋奎二 1登1勝0敗6回7振2球 率0.00
石川雅規 1登0勝1敗5回4振4球 率1.80
山下輝 1登0勝0敗5回2振1球 率5.40

 大崩れした投手はいないが、高津監督は早いイニングで先発を引き上げ、救援投手勝負に持ち込んでいる。若い高橋が前年の日本シリーズに続いて圧倒的な投球を見せている。第6戦は中6日で小川泰弘。出来次第だが、小刻みな継投になるだろう。

・救援陣
清水昇 4登0勝0敗0S3H5回1振1球 率1.80
石山泰稚 3登0勝0敗0S1H3回6振0球 率0.00
木澤尚文 3登0勝0敗0S1H3.1回1振2球 率0.00
マクガフ 3登0勝1敗1S1H2.2回3振2球 率6.75
今野龍太 2登0勝0敗0SH3回1振3球 率0.00
田口麗斗 2登0勝0敗0S2H1.2回2振0球 率0.00
大西広樹 1登0勝0敗0S0H2回1振2球 率4.50
久保拓眞 1登0勝0敗0S0H0.1回0振0球 率0.00
小澤怜史 1登0勝0敗0S0H0.2回0振0球 率13.50

 シーズン中と同様「清水頼み」が顕著だ。初戦こそ1失点したときはヒヤッとしたが、立ち直り、第5戦は「回またぎ」までした。中1日で始まる6戦以降もブルペン待機が続くだろう。

 ただ他の投手成績を見てみると、石山、木澤も安定感があり、田口は円熟の投球が光る。特に田口は吉田正尚相手に内野安打と一塁ライナーと、うまく手玉にとった。一方で第5戦でサヨナラ本塁打を被弾したマクガフはもう難しいだろうから、クローザーを誰にするかが最大の課題になってくる。石山、木澤、田口あたりが候補だろうが、失敗が許されないのが厳しいところだ。

オリは山本由伸が崩れても剛腕リリーバー陣が好調

《オリックス》
・先発陣
山本由伸 1登0勝1敗4回4振1球 率9.00
山﨑福也 1登0勝0敗4回5振2球 率0.00
宮城大弥 1登0勝1敗5.1回5振0球 率5.06
山岡泰輔 1登0勝0敗4.1回1振2球 率0.00
田嶋大樹 1登0勝0敗4.1回5振3球 率4.15

 絶対的エース山本由伸が打ち込まれたことで、オリックスのローテーションは大きく狂った。本来ローテ5番手の山﨑福が第2戦で活躍したが、宮城は期待にこたえられなかった。予告先発は中5日で山﨑福。山本の再登板はやはりなかった。山﨑福は前回、68球で降板しているので疲労は少ないとはいえ――ヤクルトと同様、継投策が前提となるだろう。

・救援陣
山﨑颯一郎 2登0勝0敗0S2H4回2振1球 率0.00
阿部翔太 3登0勝0敗0S0H3.1回4振2球 率8.10
比嘉幹貴 4登0勝0敗0S2H3.1回5振1球 率0.00
本田仁海 3登0勝0敗0S1H3回2振2球 率6.00
ワゲスパック 3登1勝0敗1S1H3回5振1球 率0.00
宇田川優希 2登1勝0敗0S1H2.2回5振2球 率0.00
近藤大亮 3登0勝0敗0S0H2.2回5振0球 率6.75
平野佳寿 2登0勝0敗0S0H2回1振0球 率4.50
竹安大知 1登0勝0敗0S0H1回1振2球 率9.00

 本来のクローザー、阿部が第2戦で代打内山に同点3ランを打たれ沈没。抑え探しが始まったが、ワゲスパックがしり上がりに調子を上げている。これに山﨑颯一郎、宇田川優希という快速球が売りの救援陣が存在感を増した。

見逃せない39歳比嘉の緊急登板、神宮の外野守備

 地味だが驚異的な活躍をしているのが12月7日で40歳になる比嘉。山本由伸の緊急降板を受けて急遽マウンドに上がって三者凡退。以後も無失点を続けている。左の救援投手がいないために引退表明した能見までベンチ入りさせた中嶋監督だが、今後、どう救援陣をやりくりするか。

 神宮球場に戻った第6、第7戦は指名打者がなくなり投手が打席に立つ。気になるのが両軍の外野だ。

 ヤクルトは右翼のサンタナの守備が心もとない。丸山和に替える可能性もあろう。オリックスは左翼の吉田正尚が不安。中堅は本来なら福田だが、打撃成績が良くないので佐野皓大の起用が続く可能性もある。

 外は冷え込んできた。この辺りも試合を占うファクターになるかもしれない。どちらかが連勝しない限り、1986年以来の第8戦になる。第8戦は延長戦になれば打ち切りなし。消耗戦を勝ち抜くのはどちらのチームだろうか。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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