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バルサの「タレント頼みで大雑把な攻撃+脆いDFライン」危機的な不甲斐なさ… “盤石マドリーと明暗くっきりクラシコ”を撮った 

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中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

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photograph byDaisuke Nakashima

posted2022/10/20 17:04

バルサの「タレント頼みで大雑把な攻撃+脆いDFライン」危機的な不甲斐なさ… “盤石マドリーと明暗くっきりクラシコ”を撮った<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

現時点で頼みの綱であるレバンドフスキを封殺されたバルサ。レアル・マドリーとのクラシコで実力差を思い知らされた

 51分、モドリッチがサイドで華麗にターン、取り囲む相手をかわしてビニシウスにパスを送る。一気に逆サイドに展開すると、ベンゼマがコントロール、ゴールに向かい斜めに侵入。

 ボックス外から左足で放たれたボールは、GKの手を交わすような弧を描きネットを揺らした。だが、ほんのわずかな差でオフサイド判定となった。回数こそ少ないもののマドリーの攻撃は、確実にバルサにダメージを与えていった。

 バルサの監督チャビも最前線で指示を出すが、状況を変えることはできない。60分に3枚同時代えでフェラン・トーレス、ガビ、ジョルディ・アルバが入った。さらにはデンベレに代えアンス・ファティ、ペドリに変えケシエを投入する。

 今季出場時間を減らしているアルバは左サイドに入ってタメを作り、また勇気あるパスを通すなど、ビッグゲームでのベテランの重要性を発揮したように思えた。

 そして終了間際83分、ガビ、アンスと繋ぎ、ゴール前の混戦からフェランがゴールを奪い、同点に向けて希望の光を見出したかに思われた。だがアディショナルタイムに入った直後、ロドリゴをエリック・ガルシアがボックス内で倒してしまいPKを献上。これでゲームセットとなった。

 冒頭に、特定選手の不在によってクラシコの魅力は減少しないと記したが、不甲斐ないバルサの出来により、クラシコは不完全燃焼で終わった。

 ホームチームの大勝に一定以上の盛り上がりを見せたことは間違いない、しかし、試合終了のその時まで、目の前で繰り広げられる戦いから目を離せない、そんな痺れるような雰囲気には至らなかった。

 ロドリゴがゴールを決めたと同時に席を後にする多くのファンの姿が物語っていた。

ベンゼマがバロンドールのマドリー、バルサは…

 勝利したマドリーは首位に浮上し、ポイント差を3と開いた。

 欧州王者として迎えた今シーズン、カゼミーロの退団はあったが、堅実な補強とエース・ベンゼマを中心に持続性のあるチーム作りが成功している。そしてクラシコを終えた翌日、ベンゼマは初のバロンドールを受賞した。

 一方バルサは、資金難と言われている中、レバンドフスキ、ラフィーニャという即戦力、またデンベレとの再契約と着実に戦力を高めたように思えたが、2シーズン目を迎えた監督チャビの“チャビらしさ”が見えてこない。

 タレント任せの大雑把な攻撃に加えて、前線からのハイプレスもほとんど見せることができなかった。そしてここ2試合で見せた最終ラインの脆さは危機的だ。このままではCL対バイエルン戦で“再び完敗”の可能性まで想像させてしまうものだった。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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