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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
穴があるのに魅力満点! CS逃しの巨人でアダム・ウォーカーはなぜ愛されたのか? 本人が明かす「ジャパニーズ・ドリームと徹底リサーチ」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki
posted2022/10/06 17:19
CS進出を逃した巨人の中でファンに強いインパクトを残したアダム・ウォカーがこの1年を振り返った
プロ入り後はツインズ傘下のマイナーでの生活が続いたが、芽が出ないままに16年オフにミルウォーキー・ブリュワーズに移籍。しかしすぐにDFAとなり、ウエーバー公示後にボルティモア・オリオールズに移籍するなど、このオフの間に3球団をたらい回しとなった。
さらに17年もアトランタ・ブレーブスを皮切りにシーズン中に3球団でマイナー契約を結ぶ流浪の生活は続く。独立リーグでプレーを始めた18年シーズン中に、1度だけワシントン・ナショナルズとマイナー契約を結ぶが、オフにはFAとなり19年からは独立リーグに居場所を見つけてプレーを続けてきた。
「独立リーグでプレーしていたときも、もっと上のレベル、もちろんMLBもそうだけど、アメリカ以外のNPBや韓国リーグ、台湾リーグでプレーすることを考えていたんだ。そうしたら代理人から連絡がきて、ジャイアンツが興味を持ってくれていると聞いた。そのときは本当に嬉しくて……NPBのしかも、最も歴史のある最高の球団であるジャイアンツでプレーできるかもしれない、その話を聞いた瞬間に、飛び上がるほど嬉しかったのを覚えているよ。ジャイアンツといえば東京を本拠地としているし、日本では楽しそうな生活もできるだろうなとワクワクした」
入団が決まる前から自分なりにリサーチしていた
来日当初、ウォーカーのどこを買うのか原監督に聞くと、真っ先に挙げたのが独立リーグ上がりのハングリー精神だった。
「彼は日本で絶対に成功してやるという強い思いを持って来ているからね」
その原監督の言葉を裏付けるように、ウォーカーの日本で成功したいという意欲の表れが、来日前の徹底した日本野球に対するリサーチだったのである。
「(巨人入団が決まって)代理人には『自分の全てを出して成功したい。その成功に向けて、全力を尽くして毎日、努力したい』と話した。ただ僕は巨人入団が決まる前から、ずっと自分なりにリサーチはしていたんだ。NPBや韓国リーグ、台湾リーグで活躍している外国人選手の経歴や、そこでの活躍する様子をインターネットでデータを調べ、動画も観て研究していた。確か2019年くらいから、そんな感じで日本の野球のリサーチをしていました。日本で活躍した選手がMLBとか他のリーグでどういう成績を残していたのか? その内容を自分なりに分析して、どういう選手が海外のチームと契約できるのかも考えていた。そのために自分には何が足りなくて、これから何を改善すれば、オファーがもらえるような立場になるのかをずっと調べて、自分なりに参考にしていたんです」
巨人入団が決まると知り合いを通じて昨年までオリックスでプレーしていたアダム・ジョーンズ外野手にコンタクトとり、AJのアドバイスを受けてもいる。また過去に巨人でプレーした選手のデータを取り寄せて研究もして来た。