この日、井澤投手をリリーフしてマウンドに上がった松岡由機（3年・172cm75kg・右投右打・駒場東邦高）はヒジのしなり抜群の腕の振りから140キロ前半の快速球が投げられる。4番・別府洸太朗中堅手（3年・174cm74kg・右投左打・東筑高）の打球に対するスピード感抜群の猛チャージ。さらにワンバウンドできっちりストライクスローが出来る高実戦力の「猛肩」。じつは、こっちが阿久津玲生か！と、シートノックを見ていて、間違えてしまったほどだ。

「僕ら、神宮ではさんざん負けて卒業するんですけど、社会に出れば、たいていは勝利者なんで……」

　だいぶ前の話だが、東京大学のある選手の口からこぼれた、こんなつぶやき……しかしもう、そんな時代では、全然なくなってきたようだ。