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川崎F一筋の現代表・谷口彰悟31歳はいかに“世界”と向き合っているのか?「Jリーグで戦いながらルカクをイメージするんです」
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph byKAWASAKI FRONTALE
posted2022/09/22 17:11
プロデビュー以来、一貫して川崎フロンターレでプレーする谷口彰悟。Jリーグで戦いながらも、常に“世界”を念頭に置いていると語る
「今のはこれで対応できたけど、相手がルカクなら…」
常に世界基準を意識してプレーし続ける。
日常でプレーする舞台を国内に置く以上、それは決して簡単ではない。「Jリーグの守り方、Jリーグの対応」を続けていると、どうしても感覚的なギャップが生まれてしまうものだという。そのあたりを、もう少し詳しく掘り下げてみた。
「わかりやすくいえば、ベルギー代表のルカクが相手だったら、対応は普段とは変わりますよね。世界基準であれば、クロスが上がる時も最高の質のものがピンポイントで来る。それを自分の中で想像して対応しないといけない。でもJリーグだと、身長や体格も同じぐらいの選手がいて、ボールの質を見てからアタックしても守れることがある。思っていることと、やらないといけないことの差がどうしてもあるんです」
国内組である自分は、どれほど世界を意識していても、基準がどうしてもJリーグの日常に戻ってしまう。そこにジレンマを抱えているというわけだ。
「これが海外組だと、僕が想像しているような出来事が日常になるわけで、その差はあると思います。もちろん、ルカクぐらい大きな選手がいて、やられるイメージや想定をしたときに、『じゃあ、こうできるんじゃないか』というのは常に考えてやっています。ただ自分が現実で戦っているのはJリーグですし、そこはうまく着地点を見つけながらやっているつもりです。『今のはこれで対応できたけど、より高いレベルだとこっちの方がよかったな』と後から考えてみたり……」
そう説明をしてくれている途中で「この話、ちょっとマニアックですかね?」と笑い、こちらの顔色を窺い始めた。十分に面白かったので続けてもらったのだが、なるほど、その次元で悩んでいるのだから、代表経験者である中澤さんにアドバイスを求めたのも当然だと腑に落ちた瞬間でもあった。
ゆえに9月の欧州遠征は楽しみで仕方ないようだった。まさに自分のスイッチを“世界”に切り替えながら、プレーをしなければいけない環境だからである。
「海外の強豪とやってどこまで通用するのか、しないのかを試したいですね。今までも何試合か出させてもらいましたけど、歯が立たないとは思わなかったし、『できる』と思ったことの方が多かったですから。自信を持って戦えるし、気持ちは本当に充実しています」