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エリザベス女王と“サッカーの母国”の幸せな関係… 唯一のW杯優勝トロフィーを渡した日、セスクいわく「彼女はアーセナルファン」だった?
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byWPA Pool/Getty Images
posted2022/09/11 06:00
96年の生涯を終えたエリザベス女王。セスク・ファブレガスの“アーセナルファン説”が本当なら、もしかしたら冨安健洋のプレーも目にしていたのかも?
その後に行われたヨーロッパリーグでは、マンチェスター・ユナイテッドが久保建英の所属するレアル・ソシエダをホームに迎えた一戦、さらにヨーロッパカンファレンスリーグのウェストハム・ユナイテッド対FCSB戦のキックオフ前にも同様の措置が取られた。
そして9日には、その週末のプレミアリーグとイングランド・フットボールリーグ、英国4協会に属するすべての試合が延期か中止されることになった。
「女王の特別な人生とこの国への貢献に敬意を表し、今週末と来週月曜日夜のプレミアリーグの試合は延期されます」とプレミアリーグは説明している。
ところが、一部のサポーターの団体はこの決定に疑問を呈している。
「国家の重大な出来事が起きた時──それが喜びであれ、悲しみであれ──に、フットボールは人々をひとつにすることができ、それが一番の良さだと我々は信じている」とフットボール・サポーターズ協会は声明を出した。
「ほとんどのサポーターは今週末も試合に行き、そこで仲間のファンと共に女王に敬意を評したいと思っている」
リーグや協会側は、大のフットボールファンでFAの会長を務めるウィリアム王子を気遣って、この決断に至ったようだが、意見は割れている(ラグビーやクリケット、ゴルフなどの他競技は週末に試合を行う)。
エリザベス女王は最後まで“ひいき”を明かさなかったが
ちなみにウィリアム王子はアストン・ビラの熱いサポーターで知られているが、祖母のエリザベス女王はひいきのチームを最後まで公にすることはなかった。
ただ、女王が2007年にアーセナルをバッキンガム宮殿に招いた際(前年に出席する予定だったエミレーツ・スタジアムの開園式を欠席したことの埋め合わせだったが、フットボールのチームとして招待されたのは後にも先にもガナーズだけだ)、女王と言葉を交わしたセスク・ファブレガスは、後にスペインのラジオにこう話している。
「女王はフットボールを追っているようだったし、彼女は自分がアーセナルのファンだと言っていた。僕のこともきちんと知ってくれていたよ」
もはやそれを確認する手立てはないが、今はただ、このスポーツにも理解を示してきたエリザベス女王の冥福を祈りたい。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。